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<参院選東北>及ばぬ恩恵 戦略に不安

はしうら・りゅういち 仙台市出身。東北大大学院修了。第一生命経済研究所で研究員として経済分析などを担当した後、99年今野印刷に入社。00年から社長。元仙台商工会議所青年部会長。49歳。

◎どう読む与党1勝5敗(中)アベノミクス/今野印刷所長 橋浦隆一氏

 −全国的に与党が圧勝した。勝敗の要因は。
 「アベノミクスの『第1の矢』である金融緩和、『第2の矢』の財政出動は当然やるべきマクロ政策だ。株価が上がり、円安基調となり、企業収益は改善した。民進党を含めた野党が、第1の矢、第2の矢まで否定したのは失敗だった」
 「ただ『第3の矢』である成長戦略は十分な成果を上げていない。安倍晋三首相は『アベノミクスは道半ば』と言い、うまくいっていない部分を覆い隠した。選挙戦術としては成功した」

 −東北では与党が1勝5敗と厳しい結果になった。
 「アベノミクスの恩恵が及んでいないことを東北の多くの有権者が感じた結果ではないか。復興は道半ばの状態。東京電力福島第1原発事故による放射線被害の回復も進んでいない」
 「加えて環太平洋連携協定(TPP)がある。これまで自民党の支持層であった農家を中心に1次産業従事者が離れた。全体として、地方は置き去りにされていると判断し、野党候補に票が流れたと思う」

 −アベノミクスの現状をどう受け止めるか。
 「恩恵を最も受けたのは為替政策に影響される大企業。東北経済は復興需要に支えられてきた側面が強いが、陰りも出てきた。第3の矢による成長戦略を期待してきたが、なかなか政策が出てこない」
 「中小企業を中心に不安を抱き始めている。復興需要が一息つけば、東北の成長率は落ち込むだろうし、そこに東北経済の本質的な問題が表れてくる」

 −与野党の経済政策をどう見るか。
 「地方の潜在成長率を高められるかどうかの議論が与野党とも不十分だった。成長戦略を進めるならば、金融機関の預貸率(預金に対する貸出金の比率)の低さを問題にするべきだ。預金が増えているのに貸し出しが少なく、ベンチャーなど新興企業が出にくい状況になっている。企業が金融機関から借りやすい環境の整備を急ぐべきだ」

 −地方の活性化に向け政治に求めるものは何か。
 「東北をけん引する仙台市でも人口減少に転じる。訪日外国人旅行者を増やすなど、地方を活性化させる政策を早く求めたい」
 「鳥取・島根と徳島・高知の両選挙区で合区が導入された。東北にとって対岸の火事ではない。1票の格差是正を尊重するのは当然だが、究極的には東京一極集中になり、地方の声が届かなくなる。最低限、都道府県単位で出すべきだ」
(聞き手は報道部・山口達也)


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2016年07月16日土曜日


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