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<手腕点検>「聞く」姿勢貫き手堅く

町特産ブルーベリーのゆうパック出発式で笑顔を見せる若生町長(中央)=1日、富谷町明石

◎2016宮城の市町村長(1)富谷町 若生裕俊町長

 いまだ道半ばの東日本大震災からの復興に加え、人口減少社会がより現実味を帯び、市町村長のかじ取りが問われている。「地方創生」の御旗の下に政府が自治体間競争をあおる中、宮城の首長らはその手腕を存分に発揮できているか。住民や関係者の声を交えて点検する。
 富谷町は10月、県内では1971年の多賀城市、岩沼市、旧泉市以来45年ぶりに単独で市制移行する。
 初代市長に就任する若生裕俊町長(52)は昨年2月の初当選後「聞く」姿勢を堅持。物腰も柔らかく、町政運営で大きな波風は立っていないが、「このままでは『聞くだけ町長』どまりだ」と先を危ぶむ声も出ている。
 「住民、職員、議会の声をよく聞いている」と町議会の浅野幹雄議長(66)は話す。7期目の浅野氏は若生町長の父故照男氏、父のいとこ英俊氏(66)、現町長と3代の「若生町長」と向き合った。

<まだレールの上>
 「ワンマンな一面があった照男、英俊両町長とは議会もしばしば対立した。だが、現町長は何事も議会にまず相談してくる」と融和路線を歓迎する。
 一方、就任から1年半がたっても「聞く姿勢」に徹することには批判もある。
 「今のところ前々町長と前町長が敷いたレールに乗っているだけ」と話すのは、行政区長経験がある富谷町民オンブズマンの岩田士郎代表(75)。
 岩田代表は「議会や職員となれ合いに陥らないよう強いリーダーシップを発揮しなければならない。このままでは『聞くだけ町長』で終わってしまう」と危機感を募らせる。
 「町長は1人では何もできない。オール富谷で新市へ総力を結集しよう」が口癖。「オール富谷」だけに住民、職員の声によく耳を傾ける。そして、議会とも良好な関係を築く。こうした姿勢が周囲には時に「八方美人」と映る。

<ビジョン提示を>
 町幹部の一人は「前町長への対抗心や、アンチ若生の声を気にしている部分もある」と明かす。
 自民党の推薦を得た町長選では、住民から「町長は若生家が30年以上。もう若生は嫌だ」との声が多く聞かれた。町幹部は「敵をつくったら立ち往生する。慎重にならざるを得ないのだろう」と言う。
 県内14番目の市となる新富谷市が、いよいよ10月10日に産声を上げる。新市住民の期待は、町長選で公約として掲げた「仙台市地下鉄泉中央駅から富谷町内へのLRT(次世代型路面電車)導入」に集まる。
 「聞くだけ町長」「八方美人」の評を覆すには、周囲の声は聞いても最終的には自ら判断・決断するという情熱を持ち、LRT実現への道筋を含めた新市のビジョンをいち早く提示するしかない。(泉支局・北條哲広)


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2016年07月17日日曜日


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