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<熊本地震>マンション売却「円滑化法使える」

熊本地震で被災したマンション=5月下旬、熊本市内(宮城県マンション管理士会提供)

 政府は、熊本地震で被災し売却や建て替えが必要になるマンションに関し、耐震性不足の物件の売却手続きを容易にする「マンション建て替え円滑化法」を適用できるとの見解を明らかにした。老朽化マンションを想定する同法の対象を被災物件に広げる。「被災マンション法」の使い勝手の悪さが東日本大震災で課題になったことを踏まえ、売却などを目指す入居者の選択肢を増やす。
 円滑化法は2014年の改正により、自治体が耐震性不足と認定したマンションは、全所有者の8割以上が同意すれば売却を決議できると要件が緩和された。同意者が結成する組合に土地・建物の権利が帰属していったん一括取得する仕組みで、決議後の手続きを迅速に進められる利点がある。
 国土交通省マンション政策室は「耐震診断の結果、耐震性が不足していれば、被災マンションの売却にも円滑化法は使える」と説明する。解体済みの場合は耐震診断ができないため適用は不可能という。
 円滑化法が注目される背景には、同様に売却決議要件を所有者の8割以上と定める被災マンション法の課題がある。
 阪神大震災を受けて制定された被災マンション法は、東日本大震災後の法改正で拡充された。ただ、売却決議後に所有権移転や抵当権抹消をどう進めるかといった定めはなく、迅速性や実効性に欠けると指摘されている。東日本大震災では仙台市内の3棟で活用されたが、うち1棟の売却決議は裁判所から手続き不備を指摘され、無効となる事態も生じた。
 被災マンション法を所管する法務省の担当者は「3棟分のノウハウが蓄積されており、熊本で適用する機会があれば十分に活用できる」と説明。「ただ円滑化法も含め売却時の選択肢は多くあった方がいい」と被災マンション法の限界も認める。
 熊本地震では、熊本県内に約850棟あるマンションの大半が何らかの被害を受けたが、解体や売却が必要な物件がどれほどになるかは不明だ。日本マンション学会によると、熊本市内では解体が避けられない状態のマンションが4、5棟確認されている。
 法務省は被災マンション法の適用について「ニーズを見極めたい」との立場。熊本市は「被災状況を正確に把握した上で適用を要望したい」と説明する。
 同学会震災特別研究委員会委員長の折田泰宏弁護士(京都弁護士会)は「被災マンション法は複雑で住民単独で手続きを進めるのは難しい。デベロッパーが興味を持つような物件では、円滑化法の方が使いやすいケースも出るだろう」とみている。

[マンション建て替え円滑化法]2002年制定。マンションの良好な居住環境を確保し、地震による倒壊被害などを防ぐため建て替えや解体を進めるのが目的。14年の改正で首都直下などの巨大地震に備え、デベロッパーが積極的に関わることなどで耐震性不足のマンションの売却を容易にする仕組みが創設された。
[被災マンション法]1995年制定。政府が定める大規模災害時に被災地の復興を進めるため、被災マンション所有者の多数決で解体や再建、敷地売却の決議ができると定める。2013年の法改正で、従来は全員の同意が必要だった売却などにも対象が広がった。


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2016年07月17日日曜日


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