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<仮設商店街>移転先決まらず 休廃業ピンチ

気仙沼市の仮設商店街「鹿折復幸マート」。退去時期が迫り、店主がそれぞれの岐路に立つ

 東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市で仮設商店街の閉鎖が課題になっている。鹿折地区の仮設商店街「鹿折復幸マート」(18店舗)が市内で初めて8月末に閉鎖されるほか、他地区でも続々と退去期限が迫る。復興事業の遅れや空き店舗不足などが影響し、事業者の多くは「次」の移転先が定まらず、休廃業を余儀なくされるケースも出てきた。(気仙沼総局・高橋鉄男)

<空き店舗が不足>
 「8月末の退去は言われていたが、土地はかさ上げ中で、空きテナントも乏しい。ここを出てすぐ店を構える人は少ない」。店主たちが苦悩を口にする。
 鹿折は市の区画整理事業で42ヘクタールがかさ上げされ、2018年春までに土地が引き渡される。商店街は12年3月に事業区域で営業を始めたが、区画整理のため14年8月に現在の場所に移転。同じ理由で2年後の退去が決まっていた。
 18店舗のうち4店舗は引き渡された鹿折の土地で店を再建するが、土地が間に合わない事業者は多い。
 酒店を営む伊藤宏美さん(52)が、換地先の土地を引き渡されるのは2018年春。「店舗は当面できない。市に営業できる場所を貸してほしかった」と目を伏せる。茶販売店を営む女性店主(48)も18年春のため「自宅で電話注文を受け付けるしかない」と言う。
 市内では沿岸部の大半が被災し、かさ上げや区画整理が終わるまで地元で店舗を再建できない。内陸部のテナントも乏しいため、市内10カ所の仮設商店街に入居する約140事業者の数は減っていない。

<「生活あるのに」>
 市は受け皿として空きがある2カ所の仮設商店街への移転を勧めるが、「不便な場所だ」と男性店主。「市内のテナントは賃料が高く、売り上げと折り合わない。生活があるのに廃業するしかない」と嘆く。
 市内では本年度末にさらに2カ所が区画整理のため退去期限を迎える。市は今月、国の再建補助金が使えない仮設事業者を後押ししようと、再建費用の3分の2の補助を上限300万円から500万円に引き上げた。
 ただ、復興まちづくりが遅れ、空きテナントは当面増えない。まちづくり会社が手掛ける仮設商店街の後継施設も完成は1年半後だ。
 飲食店の休業を決めた塩田賢一さん(49)は「5年間遠回りしても土地が引き渡されず、再建できないのは悔しい」と言う。店主たちは「個人店が減れば、街の多様な魅力は失われる。復興事業の進み具合と店舗再建がかみ合わないことを理解し、市に対策を考えてほしかった」と話す。

[気仙沼市内の仮設商店街]内湾、東新城地区など10カ所に約140事業者が入居する。土地区画整理事業区域にある「鹿折復幸マート」は8月末、「南町紫市場」「復興屋台村 気仙沼横丁」が来年3月末に退去期限を迎える。市によると今年6月下旬時点で、3カ所89事業者のうち35事業者の再建方針が未定。他の仮設商店街は、復興事業への影響がなく地権者の同意を得られれば、19年3月末まで入居できる。


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2016年07月18日月曜日


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