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<最終処分場>候補地返上を狙い先手?

ブルーシートに覆われた、原発事故による指定廃棄物。左端は試料採取の準備をする市職員=6月20日、千葉市

 東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物を巡り、千葉市が6月下旬に市内で保管する廃棄物全量の指定解除を、全国で初めて環境省に申請した。同市は千葉県内で唯一の指定廃棄物最終処分場の詳細調査候補地で、申請の背景には候補地返上に向けた思惑が透ける。同省は解除と候補地選定は「別物」との立場。解除後の「元指定廃棄物」の処分の見通しも立たず、宮城県内など他の自治体への広がりは見られない。(東京支社・小木曽崇)
 千葉市は、同省が4月に制定した指定解除を可能にする制度を活用。家庭ごみの焼却灰、ごみ最終処分場から出る汚水の処理に使用したゼオライト計7.7トンについて、6月22日に放射能濃度を再測定した。2011〜14年に1キログラム当たり8490〜9320ベクレルだった濃度は4020〜6100ベクレルに下がり、基準値の8000ベクレルを下回った。
 同省は昨年4月、東電千葉火力発電所内(千葉市)の敷地を県内唯一の処分場候補地に選んだが、市は同12月、詳細調査の受け入れを拒否。熊谷俊人市長は今年5月、「(指定解除で)指定廃棄物が市内にない状態になったとき、(県内の指定廃棄物を)全部集めることに住民の理解が得られない」と強調した。
 同省側は候補地選定のやり直しには否定的だ。丸川珠代環境相は4月の記者会見で「選定作業はその時その時の廃棄物量で選ぶと、いつまでも決まらない。選定し直すことは考えていない」とくぎを刺した。
 千葉市以外の自治体は指定解除に消極的だ。解除が決まれば処理責任は国から市町村などに移る。登米市は「そもそも国が全責任を持って処理すべきもの」、白石市も「元指定廃棄物を焼却施設に持ち込むことに住民の理解が得られない。指定が外れると国の責任が不明確になる」と話す。
 千葉市も解除手続きにこそ動いたが、解除後も風評被害防止の観点から、現在と同じように市の清掃工場内に保管する予定。
 最終処分場候補地の選定作業は各地で暗礁に乗り上げている。同省は指定解除によって、指定廃棄物量を減らすことに活路を見いだそうとしているようにも映る。同省の担当者は「指定解除後の処理費用は全額負担し、住民への説明も市町村と連携して行う。国の責任を放棄することはない」と理解を求める。

[指定廃棄物の指定解除]環境省は4月28日、放射性物質汚染対処特別措置法の施行規則の一部を改正。放射能濃度が基準値(1キログラム当たり8000ベクレル)以下と確認された指定廃棄物の指定解除が可能となった。解除されると、稲わらなど一般廃棄物は市町村、下水汚泥など産業廃棄物は排出事業者が処理する。


2016年07月18日月曜日


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