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<全村避難>頼みの畜産 飯舘「支障」克服へ

水田放牧の実現に向けて、あぜの埋設作業を進める山田さん

 東京電力福島第1原発事故後の避難指示の解除が来年3月末に迫る福島県飯舘村で、作り手がいなくなる水田を牛の放牧地に活用する試験の準備が始まった。発案者の農業山田猛史さん(67)が重機のレバーを握り、放牧地づくりの支障になる水田のあぜの撤去作業に励んでいる。
 試験は日本草地畜産種子協会の補助を受け、福島県畜産研究所と村が支援している。試験地は、関根松塚地区にある自身の水田。国の除染(表土除去)が終わった1枚30アールの水田を東西に6枚連ねた区画を用い、うち3枚であぜ(1本の延長100メートル)を取り払う。
 今月2日に作業を開始。あぜに沿って深さ約1.3メートルの溝を掘った後、幅約60センチのあぜを落とし込んで埋め、汚染されていない土で覆う。
 「水田を仕切るあぜは法律上、農地に含まれず、環境省の農地除染でも対象外とされた。土には1万ベクレル前後の放射性物質が残り、牛が土をなめたり、生えた草を食べる恐れがある。牛の移動の妨げにもなる。やっと試験に踏み出せた」
 山田さんは耕運とたい肥散布を行い、9月から牧草の種をまく。牧草が伸びる来春、福島市内の避難先で飼っている6頭を放す。
 県畜産研究所は牧草の放射性物質を検査するほか、あぜの撤去をしない水田で除草シートをあぜにかぶせる。撤去工事をしない形での水田放牧を普及できるかどうか、効果を見る。
 山田さんは「農業再生を考えた時、畜産しか思い浮かばなかった。水田放牧を成功させたい」と話す。


2016年07月20日水曜日


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