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<道しるべ探して>ハイブリッドに働こう

高浜大介(たかはま・だいすけ)1979年、東京都生まれ。立教大卒。大手物流会社、ベンチャー企業勤務を経て、2013年「地球のしごと大學」設立。農業生産法人を経営し、千葉県佐倉市で無農薬のコメや野菜の栽培に取り組む。

◎とうほく共創 第2部誇り/地球のしごと大學 高浜大介氏に聞く

 高度成長期以降、農山漁村は都会との人材争奪戦に敗れた。暮らし方や働き方を提示する戦いに負け続けてきた。ところが今、右肩上がりの時代を知らない若者を中心に逆回転が起きようとしている。
 農山漁村の仕事には「稼ぎ」「暮らし」「務め」の三つがあった。お金を稼ぐ傍ら、子育てや掃除といった当たり前の暮らしを営み、消防団活動など共同体を維持する公益の務めを果たしてきた。
 対する都会は「稼ぎ」一辺倒。「暮らし」や「務め」に当たる食事やマンション管理を外注し、お金で解決している。稼がなければならないから子どもを保育所に預けるし、保育所に預けるにはもっと稼がなければならない。
 若者たちが農山漁村にある種の「光」を見いだすのは、当然なのかもしれない。

 都会の大企業では人が余り、やる気を持て余している。農山漁村では逆の現象が起きている。両者をつながないと、日本はきっと駄目になるだろう。
 そこで「地球のしごと大學(がく)」は、ホワイトカラーとブルーカラーをつなぐ地球共生型の職業人を「アースカラー」と呼び、育成することを始めた。テクノロジーを駆使したり、生態系を無視したりする大量生産とは一線を画した1次産業の在り方、働き方を提案したい。
 ただ、パイが限られた農山漁村で自活できるだけの仕事を得るには、相当高度な力が必要だ。都会で成果を出せない人は、農山漁村ではもっとうまくいかない。「自給自足したい」「現実逃避したい」程度の感覚では、失敗が目に見えている。
 現場の積み重ねのない都会の官僚が考えた農山漁村政策は、どうしても拡大路線になりがち。そうかと言って、農山漁村が都会との関係性を全否定してしまうのも間違い。農山漁村と都会を融合し、新しいものや価値を創造する「ハイブリッド」な人材と働き方が求められている。

 農山漁村で生きていくのに必要なのは「兼業」の発想だ。農業とソーシャルビジネス、福祉、ITなどを組み合わせ、生活が破綻しないようにリスク分散を図るべきだ。農山漁村を志向する「情緒」と、なりわいを実現するための「戦略」の融合と言ってもいい。
 連載に登場する若者たちからは、ハイブリッドな試みで先祖伝来の土地、豊かな海や森林を守ろうとする使命感を感じた。一方で農山漁村には、専業化を志向し、テクノロジーを駆使して大量生産を目指すような都会型、産業界型の価値観が染みついているのも現実だ。
 徹底して自然界や1次産業側から発想し、仕事や人間、足元の価値を見つめ直す後継者教育が必要だ。


2016年07月21日木曜日


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