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<大槌シイタケ>震災克服 最高賞に輝く

シイタケの菌を植えた原木を積み重ねた場所に立つ兼沢さん(右)と三浦さん

 東京電力福島第1原発事故の放射性物質対策に取り組み、シイタケの出荷が認められた岩手県大槌町の兼沢平也さん(68)が全農主催の乾椎茸(ほししいたけ)品評会で最高賞に輝いた。町内で露地栽培の原木シイタケの出荷制限が続く中、原木7万本を廃棄した上で栽培環境を整え、栄誉をつかんだ。兼沢さんは「品質を高める努力を続けたい」と意欲的だ。
 岩手県内では県南を中心に13市町で露地栽培の原木シイタケの出荷が制限されている。生産者は菌を植えた原木を置く場所の落ち葉を除去し、土の飛散を防ぐシートで地面を覆う対策を実施。シイタケの放射性物質検査の結果が基準値以下となれば、出荷が認められる。
 兼沢さんは1980年ごろからシイタケ栽培を続ける。原発事故の影響で所有する金沢地区の原木が使えなくなって処分し、一時は廃業を覚悟した。その後、地区の別の場所に放射性物質濃度の低い原木を採取できる山を見つけ、2012年秋、町内の生産仲間の三浦蔵七さん(74)に共同購入を提案。再挑戦を決めた。
 2人の手掛けた原木とシイタケは複数回の検査をクリアし、15年春に出荷を再開した。兼沢さんは6月に埼玉県で開かれた品評会の出品部門で形状や色などが評価され、最高の農林水産大臣賞を受賞。三浦さんも6月の岩手県の品評会の出品部門で最優秀賞を獲得した。
 「生産量が増え、いいシイタケができるようになってきた」と喜ぶ三浦さん。兼沢さんは「頑張ったかいがあった。道具も経験も簡単に捨てるわけにいかない。働いて汗をかき、お酒を飲む楽しみのためにも生産を続けたい」と笑う。
 東日本大震災前、大槌町と隣の釜石市には露地栽培の原木シイタケ生産者が計71人いたが、このうち6月末までに出荷制限が解除されたのは2割超の16人にとどまる。岩手県の担当者は「2人の受賞を励みに生産再開が続いてほしい」と期待する。


2016年07月22日金曜日


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