宮城のニュース

<手腕点検>実務派 着実に復旧復興

津波避難路の開通式であいさつする菊地市長=1日、岩沼市下野郷の津波避難路藤曽根線

◎2016宮城の市町村長(2)岩沼市 菊地啓夫市長

 宮城県岩沼市は4月、県内の東日本大震災の沿岸被災市町で最も早くプレハブ仮設住宅が解消し、「復興のトップランナー」と称される。
 2014年6月、井口経明前市長(70)から禅譲を受ける形で無投票で初当選した菊地啓夫市長(63)。市職員出身とあって着実に復旧・復興事業を進め、仮設住宅解消にこぎ着けた。

<主要ポスト歴任>
 「われわれも手探りで復旧事業を進めてきたのに市民の皆さんが付いてきてくれた。全員がここから出られたのは何物にも代えがたい」
 菊地氏は4月28日にあった仮設住宅閉所式で涙した。民生部長、健康福祉部長、総務部長と主要ポストを経て副市長に就任。震災発生は、その2カ月後だった。当時は連日市役所に寝泊まりし、対応に当たった。
 「事務能力が高く、井口市政を継承している」と8期のベテラン、沼田健一市議(66)は評する。独自色がないとの声にも、「25歳から市議、市長と市政に関わり、経験豊富だった井口氏との比較は酷。震災対応に追われて独自色を発揮しにくかった」と擁護する。
 復興にめどが付きつつある現在、市の課題は衰退著しい中心部の再生に移りつつある。人口減と高齢化、商店街の低迷といった震災前から続く難題のかじ取りが求められている。
 菊地氏は全町内会長を集めて要望を吸い上げる機会を設け、市内の教員加配措置なども手掛けた。ただ、中心部再生については「具体策が見えない」「リーダーシップ不足」との声も上がる。

<発信いまひとつ>
 約1年前、福祉関係者から中心部再生の切り札ともなる提案が市に持ち込まれた。空き家を高齢者が集うサロンとして活用するアイデア。中心街には集会所がなく、空き家問題と高齢化対策に同時に対処する足掛かりともなる試みだが、実現に至ってない。
 「すぐにでも実行すべきだ」と指摘するのは前職の井口氏。復興の道筋を進めるには政治家より行政マンがふさわしいと考えての禅譲だったが、「これからはよりソフト施策が重視される。そろそろ自分ならではの施策に知恵を絞るべきだ」と注文を付ける。
 「情報発信力のなさも問題」と手厳しいのは須藤功市議(58)。定例記者会見を始めたのは、県内の市で最も遅い今年2月で、回数も年4回だけ。「首長が前に出なければ何も伝わらず、市民が不幸だ」と憂う。
 国道4、6号が結節し、鉄路、高速道とともに仙台空港を抱える岩沼市。インフラを生かし、復興後のまちづくりをどう描くか。中心部の現状打開策を具体的に打ち出し、自ら市民に発信することが求められている。(岩沼支局・桜田賢一)


関連ページ: 宮城 政治・行政

2016年07月24日日曜日


先頭に戻る