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<復旧費返済>迫る期限 被災中小戦々恐々

 東日本大震災で被災した企業の工場や設備の再建を支援するグループ化補助金で、復旧費の4分の1に当たる自己負担分を工面するため被災企業が活用した制度融資の返済が、来年度から本格化する。最長5年の返済猶予期限まで1年余となる中、販路を失い、売り上げが震災前の水準に戻らない小規模事業者を中心に、再猶予を求める声が上がる。(報道部・藤本貴裕)

 返済が迫られるのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の既存の高度化融資制度を利用した被災企業。融資は各県の産業支援機関が窓口となり、被災企業は無利子とした。被災した岩手、宮城、福島3県の各支援機関は今年3月末現在、804社に計534億4000万円を貸し付けた。
 東北経済産業局によると、グループ化補助金の交付決定を受けた青森を含む東北4県、北海道、千葉県の被災企業6322社のうち23.8%(2015年6月調査)が、高度化融資制度を利用している。
 グループ化補助金の最初の交付先が決まったのは11年8月。復旧完了後に受ける融資の返済猶予期限は来年度、順次満了となる。
 中小機構高度化事業企画課は「猶予期限によっては既に一部で返済が始まっているが、償還はこれから本格化する」と説明する。
 震災から5年が過ぎたものの、多くの被災企業は業績が震災前の水準に戻っておらず「返済をもう少し待ってほしい」という声が出始めた。事業が軌道に乗る前の返済は、経営を圧迫しかねないからだ。
 民間の金融機関から借りるケースもあるが、返済条件はそれぞれ異なる。
 民間信用調査会社、帝国データバンクによると、15年度の震災関連倒産は東北6県で44件に上る。仙台支店の担当者は「件数はリーマン・ショック(08年)時より多くはない。ただ、人口減少が著しい被災地は市場が縮小し、供給過多の状態が続く。多くの中小事業者は自己負担分を返すのが厳しいだろう」とみる。
 中小機構は「再猶予は各支援機関が一義的に判断する。実態に応じて柔軟に対応してもらいたい」と話している。

[グループ化補助金]被災した中小企業がグループを組み、施設や設備の復旧費の最大75%の補助を国と県から受けられる制度。今年3月の16次採択までに、岩手121グループに814億円、宮城198グループに2459億円、福島252グループに1204億円が補助された。


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2016年07月24日日曜日


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