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<角田市長選>定住増 問われる企画力

誘致企業に通う従業員たちの車列。市外からの通勤者が多数を占めるという(写真は一部加工しています)

 任期満了に伴う宮城県角田市長選(31日投開票)はともに無所属で、新人の木村伸一氏(63)と現職の大友喜助氏(65)が告示以来、舌戦を繰り広げている。仙南トップの工業都市で農業市の顔も併せ持つ角田市だが、人口は県内市最小で3万割れ寸前。岐路に立つ田園都市の課題を探った。(角田支局・会田正宣)

◎どう創生田園都市(上)人口減対策

 「東日本大震災がなければ、3万を切っていたかもしれない」。市幹部は複雑な表情を見せる。
 2015年国勢調査(速報値)の市人口は3万193で、前回10年から約1800人減少。3万割れでもおかしくなかったが、沿岸部の被災者が避難した11年に152人の転入超過がプラスに働いた。

<7割は市外在住>
 だが、市が掲げる4年後の「20年に人口3万確保」は難しい状態だ。
 合併で市制施行した1958年の3万6716が最多で、その後下降線をたどった。60年代に企業誘致を進め、バブル景気にあった90年に3万5400に回復したものの、以降は減少傾向に歯止めがかからない。
 企業誘致が定住人口増に直結しない実態も影を落とす。市によると、誘致企業20社の雇用は約4900人(昨年10月現在)だが、7割は市外とされ、岩沼市や宮城県柴田町といったJR東北線沿線からの通勤者が多い。
 市内にあるアイリスオーヤマ角田工場の女性社員(38)は、地元出身だが柴田町に住む。3人の子どもを抱え、「角田は自然豊かでよい地域だが、保育所が少なく、子どもを預けられる体制が不十分」と漏らす。

<子育て支援後手>
 中学生を持つ別の事業所の男性(51)も、通学を理由に名取市に家を建てた。「学歴は財産。息子が仙台市内の高校に通えるよう考えた」と打ち明ける。
 市は定住促進のため、11年前に住宅取得者への補助金を導入した。利用は年約50件と実績を上げている。
 一方、所得制限を設けながら中学生まで無料の子ども医療費では、周囲の自治体と差が開きつつある。白石市は10月に所得制限を撤廃。宮城県大河原町や宮城県丸森町は18歳まで拡大した。角田の保育料の軽減措置は国の水準並みで、子育て支援が後手に回った感がある。
 雇用約2000人で、市内の誘致企業最大手のケーヒン。グローバル化の波にさらされ、昨冬、国内全体で400人の早期退職を募った。製造業中心の企業誘致に依拠したまちづくりも転換を迫られている。
 市商工会の加藤泰彦会長(62)は「人口増には、一億総活躍に対応する子育て支援の充実や思い切った定住策など、総合的なまちづくりの企画力が問われている」と指摘する。


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2016年07月27日水曜日


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