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<角田市長選>情報発信の仕掛け必要

こどもの日のイベント「かくだ宇宙っ子まつり」でにぎわう台山公園。イベントがないと人影はまばらだ=5月

◎どう創生田園都市(下)「資源」の活用

 高さ49メートル、H2ロケットの実物大模型が宮城県角田市の台山公園にそびえ立つ。ふるさと創生の1億円を活用して1990年に完成した。

<「宝の持ち腐れ」>
 ロケットエンジンを研究する宇宙航空研究開発機構(JAXA)角田宇宙センターがある「宇宙のまち」角田で最も有名なスポットだが、イベントがなければ休日でも人影はまばらだ。
 センター開所50年を記念し、市とセンターは昨年12月、産業振興や教育分野での連携協力協定を結んだ。センターの吉田誠所長(56)は「実験用機器の製作に協力いただける企業が市内に隠れているはず」と産業連携に期待するが、成果は未知数。半世紀の間、企業とのマッチングの場さえ持たれてこなかった。
 センター職員62人のうち約50人が研究開発員と優秀な頭脳が集まるだけに、市内での学校教育現場での連携も考えられる。
 センターは産業、教育両面で協力姿勢を示すが、「協定を結んだばかりで、中身はこれから」(市教委)という段階。市幹部は「今まで宝の持ち腐れだった」と悔やむのが実情だ。
 観光面でも、地元資源を生かし切っているとは言いがたい。
 観光客は年間約21万人。人口が角田市の半分以下の、蔵王町の9分の1、丸森町の3分の1にとどまり、仙南2市7町では最も少ない。「単発のイベントは多いが、全体がつながっていない」と市商工観光課も誘客力不足を認める。

<周辺市町に後れ>
 市は、仙台藩祖伊達政宗の次女牟宇(むう)姫の角田への輿(こし)入れ400年と市制60年が重なる2018年度に向け誘客増を図りたい考えだが、市に具体的な観光計画はなく、民間の動きも鈍い。
 市は市東部に「賑(にぎ)わいの交流拠点施設」(道の駅)の整備を計画している。市長選の争点になっている計画の是非は別にしても、施設が狙う交流人口拡大の仕掛けや情報発信で周辺市町に後れを取っていることは否めない。
 「村田町は『蔵のまち』というアイデアで地域を売り出した。角田はこれといった特産品や観光スポットがなく、アピールが弱い」
 蔵王地養卵をブランド化し、菓子製造販売の「森の芽ぶきたまご舎(や)」を県内で展開する一條(角田市)の一條憲一社長(69)は表情を曇らせる。
 かつて、卵を卸しに仙台に行った際、相手が角田市がどこにあるか知らず「丸森町の隣」と言ったら分かったということがあった。
 「角田は県内でも知名度が低い。住みよい地域だと思うが、交流人口が増え、経済が回るようにならないと人の流出は続く。将来を見据えたまちづくりの工夫と発信力がないと、寂れる一方だ」と憂う。


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2016年07月28日木曜日


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