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<新潟福島豪雨5年>鉄路も河川も復興進まず

線路の一部が流失したままの第5只見川橋りょう。工事費は約2億円と見込まれ、復旧の見通しは立っていない=福島県金山町

 福島県会津地方の只見川流域が新潟・福島豪雨=?=の被害を受けて29日で5年を迎えた。水田などは復旧したが、河川改修は進まず、住民は水害への不安を募らせる。JR只見線の全線再開のめども立っておらず、生活再建に向けた課題は山積している。(会津若松支局・跡部裕史)
 「ここまで只見川の水が来た」。川から約100メートル離れた金山町西谷地区のバス停待合室。近くの町議黒川広志さん(74)がベニヤ板の壁に残る高さ1.5メートルの痕跡を指した。
 西谷地区は約50世帯の半分が被害を受けた。住宅は修繕されたが、まだ安心できる環境ではない。
 黒川さんは「町民の7割は只見川流域に住む。また大雨が降ったら…。5年前に被害を受けなかった人も含め、不安の中で生きている」と言う。
 福島県は災害対策の河川整備計画で、住宅のかさ上げか堤防を築くかを住民意見を集約して決める方針だが、まだ具体案を示していない。金山町の高齢化率は約60%。「元気なうちに整備が終わるだろうか」との声も聞こえてくる。
 黒川さんが事務局を務める「只見川ダム災害金山町被災者の会」は、周辺にあるダムの管理者の東北電力と電源開発(Jパワー)を相手に訴訟を続ける。
 被災者の会が「堆積した土砂を取り除かなかったのが水害の原因」と訴えているのに対し、東北電などは「自然災害で過失はない」と反論している。
 今も深刻な影響が続くのはJR只見線だ。三つの鉄橋が流失し、会津川口(金山町)−只見(只見町)間が不通になっている。
 JR東日本は6月、代行バスの運行継続が望ましいとした上で「上下分離方式」による鉄路の復旧案を初めて示した。沿線自治体が線路など鉄道施設を所有し、JRは列車運行を担う形に変える方法だ。
 県や沿線自治体は生活路線や観光資源として欠かせないため、早期復旧を求めてきた。ただ上下分離案では復旧費の一部と、線路の保守や除雪など2億1000万円の年間運営費が地元負担になる。しかも復旧費は当初見込みの85億円より膨らむとみられる。
 ある地元自治体の担当者は「多額の負担を求められても、財政基盤の弱い自治体には難しい。『上下分離案が出たので、すぐ受け入れます』とは簡単にはならない」と話す。
 上下分離方式となれば多額の税金を投入することになる。会津地方が悲願とする只見線復旧を巡り、県民の理解が重要になる場面が出てくるかもしれない。
[新潟・福島豪雨]2011年7月26〜30日に大雨が降り、福島、新潟両県の県境を中心に大きな被害が出た。福島では只見川が氾濫。1人が行方不明になり、流域の只見、金山両町など11市町村で住宅33棟が全壊、200棟が半壊、77棟が床上浸水した。


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2016年07月30日土曜日


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