宮城のニュース

<手腕点検>処分場問題増す存在感

災害時対応の浄水器寄贈式で、試飲する猪股町長(中央)=25日、加美町中新田小

◎2016宮城の市町村長(3)加美町 猪股洋文町長

 東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設問題で、存在感を示した。
 県内3カ所の処分場候補地のうち、加美町は計画を進める環境省と住民が激しく対立。反対運動の先頭に立った猪股洋文町長(64)は町内候補地の不備を追及し「田代岳は不適地」と白紙撤回を求めた。

<「刺客」送り込む>
 処分場問題で町内が揺れる中、行われた昨年7月の町長選は、国に対する強い姿勢が支持され、無投票で再選を果たした。
 「白紙委任」を得た猪股氏は攻勢に打って出た。昨年10月の県議選加美選挙区で、5選を目指す自民党現職に、元町総務課長の新人高橋啓氏(61)を「刺客」として送り込む。
 国と共に処分場計画を進める村井嘉浩知事に近かった現職との一騎打ち。猪股氏は元部下の高橋氏を全面支援し、結果はダブルスコアの圧勝だった。政党関係者は「知事との代理戦争のようだった」と振り返る。
 処分場問題も潮目が変わった。環境省が建設に向けて試みた田代岳での現地調査は、町民の反対を前に2年連続で実施できなかった。昨年12月、町を含む候補地3市町は「候補地返上」を宣言。以降、棚上げ状態となり、トーンダウンした。
 猪股氏と共に反対運動を進めた住民団体の高橋福継さん(74)は「町長の強い信念の下、住民が団結した結果だ」と評価する。
 処分場問題と2度の選挙を経て力強さを増した政治力と深めた自信は、町政運営にも表れ始めた。

<住民と対話必要>
 音楽教育施設「国立音楽院」誘致、アウトドア大手「モンベル」との連携、バイオマス産業都市構想、子ども公園建設計画…。次々と肝いり事業を打ち出す。「どれも町長が直接交渉したり、現地に足を運んだりして決めた」と町幹部。
 危うさも潜む。今年6月の町議会定例会一般質問で、町が宮崎地区に整備を進める商店街活性化拠点施設が取り沙汰された。
 質問に立った木村哲夫町議(57)は、来年4月オープン予定なのに施設の運営主体が決まっていないことを問題視。「主体も決まらずに建設するのは問題。商店街や住民と話を詰めるべきだ」と迫った。
 猪股氏は「『町が説明不足』と言っている間は地域活性化は図れない。住民も受け身ではなく能動的になってほしい」と反論した。
 4期務める米木正二町議(68)は「焦ることはないのにあれもこれも手を広げすぎる。腰を据えて取り組むべきだ」と忠告する。
 「善意と資源とお金が循環するまち」をうたう猪股氏。町内には「住民のためになると考えても、住民がそう思わなければただの押し付け」との懸念もある。2期目に入り政治力が増した今こそ、住民との「対話力」が求められる。
(加美支局・馬場崇)


関連ページ: 宮城 政治・行政

2016年07月31日日曜日


先頭に戻る