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<女性ねぶた師>母の強さ込めいざ出陣

完成したねぶたの台上げが終わり、仕上げをする北村さん=17日、青森市

 青森市の北村麻子さん(33)は、ねぶた師の父の作品に心を動かされ、青森ねぶた祭(8月2〜7日)で初めての女性ねぶた師になった。5回目を数える今年は昨年出産した長女の育児と重なり、生活が一変した中で大型ねぶたの制作に取り組んだ。母となって手掛けた作品の出陣に「経験をねぶた作りに生かしたい」と語る。
 ねぶた制作小屋が集まる青森市の青い海公園で今月中旬、北村さんが制作した大型ねぶた「陰陽師(おんみょうじ)、妖怪退治」を台車に載せる「台上げ」があった。ようやく完成したねぶたを前に、北村さんは「育児との両立は今までの『大変』とは比べられないほど大変だった」と振り返る。
 ねぶた師になろうと決意したのは2007年。父でねぶた師の隆さん(68)=青森市=が制作した「聖人・聖徳太子」を見た時だった。
 「不景気でねぶたの制作依頼が減り、当時の生活は苦しくなっていた。どん底の状態の父が作った作品に『強さ』を感じ、父のねぶたを終わらせてはいけないと思った」
 隆さんに弟子入りしたが、最初は全く相手にされなかった。技術を目で盗むうち、少しずつ仕事を任されるようになった。初の女性ねぶた師として大型ねぶたを作ったのは12年のねぶた祭。優秀制作者賞を受賞した。
 大型ねぶた制作は今年で5回目。昨年10月に長女を出産したが、ねぶた師に育児休暇はない。産後2カ月ほどで復帰した。ねぶた小屋での制作が始まるまでは実家で作業するため、仕事中は母とも子さん(59)に長女の面倒を見てもらった。小屋での制作が始まると、保育園に預け、作業後に迎えに行く日々が続いた。
 食事や入浴の世話、夜泣きの対応…。育児に追われ「生活が一変した。体力仕事でもあるねぶた制作との両立は負担が大きかった」
 夫や親の支えもあり、今月に「陰陽師、妖怪退治」を完成させた。正面にはユニークな妖怪を退治する陰陽師、後方の「送り」には化け猫を退治しようとひげを引っ張ったり、顔に落書きしたりする元気な子どもたちを表現した。
 「ねぶた師の生き方が垣間見えるのがねぶた。母として成長していく中で、その強さがねぶたにも表れたらいい」と北村さん。「大変だから、娘がねぶた師になってほしいとは思わないけれど、ねぶたは好きになってほしい」と笑った。


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2016年07月31日日曜日


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