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<災害公営住宅>コミュニティーづくり模索

岩手県内最大の災害公営住宅「県営栃ケ沢アパート」

 岩手県陸前高田市で1日、県内最大の災害公営住宅「県営栃ケ沢アパート」の入居が始まる。9階建てと8階建ての2棟で、市全体の3割以上を占める計301戸を整備した。だが、持ち家が中心の市民に高層集合住宅はなじみが薄く、新たなコミュニティーづくりや防災対策が課題となっている。
 アパートは高台の市役所仮庁舎近くに立地する。県大船渡土木センターによると、現段階の入居見込みは206世帯。このうち、1人暮らしの高齢者は24.8%に及ぶ。加えて入居者は市内各地から集まるとみられる。
 高齢者らの相談に応じる陸前高田市地域包括支援センターの担当者は「都市型の住まいに慣れていたはずの神戸市でも、阪神大震災後に孤独死が出た。嫌になってストレスをためたり引きこもったりしないか」と心配する。
 県営のため、住民サービスを担う市に入居者の詳しい情報が入らず、ケアの支障になりかねない。
 県は市などと協議し、同意を得た入居世帯全員の氏名と性別、年齢の個人情報を、市や市社協、民生委員に提供することを決めた。
 管理人や行政区長、班長の選任、自治会設立、入居者間交流といった課題にも連携して対応する。県大船渡地域振興センター復興推進課の米内敏明課長は「規模が大きく、コミュニティーづくりに危機感を持っている。住民の合意形成を大切に進めたい」と話す。
 防災面でも懸念材料がある。東日本大震災前に中高層建物が少なかった市には消防のはしご車がない。栃ケ沢アパートをはじめ、7階以上の災害公営住宅が相次いで建ち、高さ15メートル以上の建物は9棟に増えた。
 はしご車の整備については消防庁の指針でおおむね10棟を目安としているが、維持管理を含めた財源や職員態勢の問題もある。
 市消防本部によると、災害公営住宅の部屋壁は鉄筋で隣室の延焼を防げるといい、玄関側とベランダ側からそれぞれ水平方向に避難しやすい構造になっている。同本部の担当者は「はしご車がなくても消防隊が支障なく上階に向かえる」と説明。今後は防火講習会を開き、入居者の不安解消に努める。


2016年08月01日月曜日


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