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<仙台港開港45年>物流拠点 高まる地位

仙台港に寄港するコンテナ船。埠頭の拡張工事が進む=仙台市宮城野区

 仙台港が先月、開港から45年を迎えた。東日本大震災の被害を乗り越え、2015年の国際コンテナ取扱量は過去最多を更新。東北の物流を支える中核拠点の地位はさらに高まりつつあるが、復興需要に依存した状況は続く。港湾関係者からは「復興後に真価が問われる」として、一層の貨物開拓や岸壁整備、海外直行航路の拡充を求める声が上がる。(報道部・片桐大介)

<取扱量最多に>
 国際コンテナ取扱量はグラフの通り。2015年は22万5259個(20フィートコンテナ換算)で開港以来最多となった。住宅再建の需要を背景に建築用の木製品や製材の輸入が増え、貨物量を押し上げている。
 コンテナ船が出入りする高砂埠頭(ふとう)は広さ21ヘクタール。6ヘクタール広げる工事が進み、さらに岸壁や埠頭の拡張計画もある。東北地方整備局塩釜港湾・空港整備事務所の佐野透所長は「拡張には、貨物が十分に確保できることが必要だ」と指摘する。

<乏しい輸出品>
 特に輸出は北米向けの自動車タイヤが好調を維持しているが、他の有力な品目に乏しい。東京電力福島第1原発事故の影響で韓国、中国などが水産物の輸入禁止を継続し、輸出再開のめどは立っていない。
 「復興需要はいずれ終わる。5〜10年後を見据えて早急に手を打つ必要がある」。仙台港で荷役や船舶代理店業務を担う三陸運輸(塩釜市)の丹野光明社長は警告する。
 貨物取扱量の拡大に向け、関係者が注目するのは近接する蒲生北部地区(仙台市宮城野区)の開発だ。津波で被災した約92ヘクタールを仙台市が21年度までに産業用地として区画整理する。県港湾課は「輸出型企業の立地が望ましい。仙台市と協力して誘致を図りたい」と話す。
 仙台港は東北で唯一指定された「国際拠点港湾」。国の貿易政策や国際的な物流ネットワークでの存在感を高めることが、今後の大きな課題となっている。
 現在は北米、中国、韓国、ロシアを結ぶ海外直行船が9航路、京浜経由で国際船に積み替えるフィーダー船が9航路ある。いずれも過去最多で、世界につながるゲートウエー機能は強化されている。

<国戦略に懸念>
 一方、国は「国際戦略港湾」と位置付ける京浜地区の横浜、川崎両港に各地の輸出入コンテナを集中させる施策を展開。大型船の寄港促進による国際競争力の強化を狙い、国は本年度、両港を使う船主や荷主への補助金事業を開始した。
 仙台は京浜地区に1日で到着する利便性が強みだが「無理やり京浜に荷物を集める施策に見える。仙台の国際拠点港の地位が損なわれかねない」。三陸運輸の丹野社長は国家戦略とのバランスに懸念を示す。
 宮城県の遠藤信哉土木部長は「将来を見据え、積極的に施設整備を推進する。海外直行、京浜経由の多様なルートがあることをアピールし、輸出入品の確保を進めたい」と話す。

[仙台港]宮城県が管理する国際貿易港。仙台市、多賀城市、宮城県七ケ浜町にまたがる。1967年に着工。陸地を掘り込み、71年7月に第1船が入港した。コンテナのほか原油、天然ガスなどエネルギー資源、自動車、飼料の集積、輸送拠点となっている。港湾法施行令による正式名称は仙台塩釜港仙台港区。


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2016年08月02日火曜日


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