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<竿燈まつり>原発避難 秋田に恩返しを

華やかな音色で竿燈まつりを盛り上げる樹梨さん=3日午後7時40分ごろ

 秋田市で3日開幕した秋田竿燈まつりで、秋田南中2年の遠藤樹梨さん(13)=同市楢山=が同中竿燈部の一員として横笛を奏でた。東日本大震災と福島第1原発事故後、母美弥さん(49)らと福島県郡山市から自主避難して5年。借り上げ仮設住宅の提供は、本年度末で打ち切られる。樹梨さんは5回目のまつり本番を迎え、「中学を卒業するまで大好きなまつりに参加したい」と希望する。
 樹梨さんは小学3年生だった2011年7月、美弥さん、2歳上の姉杏樹さん、祖母の4人で秋田市に一時避難した。夏休みの1カ月間滞在する予定が、祖母のけがで残ることになった。
 その年、初めて間近で見た竿燈まつりの迫力と美しさに魅了された。「せっかく秋田にいるのだから」と12年4月、通学する築山小の竿燈クラブに入り、はやし方の一員となった。
 クラブでは、小中学生のチームが参加する妙技会で優勝した先輩に憧れて練習を積んだ。妙技会のはやし方は太鼓2人に笛1人の3人で構成する。樹梨さんは6年生で見事優勝した。
 中学生になった昨年は地区の共和町竿燈会に入り、大人の指導を受けて1年間、難度の高い演奏に挑んだ。習ったことができないと、悔しくて海に向かって笛を吹き続けた。「こっそり練習したでしょ」。仲間から上達ぶりを褒められると、うれしさと手応えを感じた。
 竿燈まつりには来年も参加したいと思っている。だが、福島県は県外自主避難者への住宅提供を来年3月で打ち切る方針だ。会社員の父(50)は郡山市に残り、姉も今春、高校進学を機に郡山へ戻った。
 借り上げ住宅を出ても、南中校区内の空き物件は限られる。秋田に残るとしても、郡山との二重生活の負担が重くのしかかる。
 美弥さんは「中学卒業までという希望はかなえてやりたい」と、樹梨さんのため家探しに奔走する。
 現在の目標は、南中の竿燈部として来年の妙技会に出場し優勝すること。
 「父や姉のいる郡山に帰らなきゃいけないのは分かっている。でも、その前に優勝して秋田の人に恩返ししたい」。笛を持つ手に力がこもった。


2016年08月04日木曜日


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