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<南海トラフ>東北の経験基に対策考える

むすび塾を開催する兵庫県南あわじ市福良地区。右方向に福良湾が開け、海辺のわずかな平たん地に住宅が密集する

 神戸新聞社と共催で9月3日に開く「淡路島むすび塾」は、南海トラフ巨大地震の被災予想地域への教訓伝達の機会になる。開催地の関係者は「東日本大震災の被災経験に学び、住民や観光客の備えの意識を高めたい」と意気込む。
 南あわじ市福良地区は人口約5100、世帯数2400。地震発生から58分後に兵庫県内最大の8.1メートルの津波が来襲し、福良地区を中心に市全体で死者1774人、全壊1万1260戸の被害が想定される。
 市は夜間や早朝の避難訓練を実施するなど津波への備えに力を入れている。福良地区の住民は兵庫県内でも特に津波防災への意識が高く、むすび塾開催日に地区住民総参加の避難訓練を実施することも決めた。
 ただ、外部からの来訪者対策は課題が多い。鳴門海峡に面した福良港は渦潮観潮船の発着拠点で、隣接する「道の駅福良」だけでも年間40万人以上の観光客が訪れる。避難の予備情報が乏しい観光客の誘導をどうするかについては、手探りの状況が続いている。
 福良町づくり推進協議会の原孝会長(71)は観光客対策を本格的に議論する機会を重視し、「震災被災者から体験や教訓をじかに聞ける機会はとても貴重だ。一人一人が真剣に備える刺激を得たい」と期待する。
 共催する神戸新聞社は1995年の阪神淡路大震災以降、防災報道に力を入れてきた。小野秀明編集局次長は「大災害を経験した地元紙同士が災害犠牲を繰り返さない誓いを新たにする機会と受け止め、防災・減災の取り組みを深化させていきたい」と話す。


2016年08月06日土曜日


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