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<陛下お気持ち>被災地「気遣いに深く感謝」

南三陸さんさん商店街で、商店主の説明を受けながら視察される天皇、皇后両陛下=2014年7月23日、宮城県南三陸町
天皇陛下のビデオメッセージのテレビ放送に見入る人たち=8日午後3時10分ごろ、宮城県女川町まちなか交流館

 象徴としての務めが安定的に続くように−。天皇陛下は8日、約11分のビデオメッセージに「お気持ち」を託された。即位から28年。被災地訪問や慰霊の旅を重ね82歳になった陛下の言葉には、生前退位の意向が強くにじんだ。
 東日本大震災後、天皇、皇后両陛下のお見舞いを受けた被災者は、ビデオメッセージのテレビ放送をじっと見守った。にじみ出る生前退位の意向を理解するとともに、被災地を励まし続けてきたことに改めて感謝した。
 「陛下が体力、精神両面で不安を抱えつつも、国民を第一に考えていることが伝わってきた」
 今年3月、宮城県女川町を訪れた両陛下と言葉を交わした同町のタイル工房「みなとまちセラミカ工房」代表の阿部鳴美さん(55)はこう説明した。「寂しい気持ちはあるが、陛下の意向に沿った形で事が進めばいいと思う」と話す。
 震災直後の2011年5月、岩手県宮古市の避難所で両陛下を出迎えた同市田老の堀子朝子さん(77)は「できれば長く続けていただきたいが、心身ともに大変だと分かった。美智子さまと一緒にゆっくりと過ごしてほしい」と願った。
 皇室にモモを献上する福島県桑折町の農家南祐宏さん(40)も「お疲れさまでしたと伝えたい」と理解を示す。15年7月、モモ畑で陛下に東京電力福島第1原発事故後の状況を説明した際、「大変と思いますが頑張ってください」と声を掛けられたのが励みという。
 陛下の周囲への細やかな気遣いは、被災者が最もよく知っている。
 宮城県南三陸町の復興商店街「南三陸さんさん商店街」で14年7月、両陛下を案内した及善蒲鉾(かまぼこ)店社長の及川善祐さん(63)は、陛下に「震災前と後で使う魚は変わりましたか」と尋ねられたのが忘れられない。
 及川さんは「被災地の状況をよくご存じだった。心を寄せていただき、頑張らないといけないと奮起した」と振り返る。生前退位も「寂しいけれど、陛下のご意向に賛成したい」と受け止めた。


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2016年08月09日火曜日


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