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<三陸沿岸道>トンネル掘削を高速化

コンクリートの吹き付け作業が進む新区界トンネル。最新鋭の重機投入や効率化を図る取り組みが続く=宮古市区界

 岩手県内で過去に類のないスピードで復興道路の整備が進む。早期開通を目指す整備の現場や行政の動きを追った。(盛岡総局・山形聡子)

◎岩手復興 大動脈北へ(16)工期短縮

<最新重機を導入>
 沿岸と内陸を直結する新たな東西軸の工事が、難所に突入した。
 東日本大震災で被災した宮古市と盛岡市を結ぶ復興支援道路「宮古盛岡横断道路」(100キロ)。両市にまたがる区界峠を越える「新区界トンネル」の掘削工事が本格化している。
 長さは4998メートル。開通すると、国道283号の新仙人トンネル(釜石市、4492メートル)を抜いて岩手県内最長。東北では貫通した栗子トンネル(福島、米沢両市、8972メートル)、2012年に開通したあつみトンネル(鶴岡市、6022メートル)に次ぐ長さとなる。
 宮古側から1キロ入った坑内で掘削の最前線を見た。重機から伸びた2本のアームが縦横無尽に動き、掘られた壁にコンクリートを吹き付けていく。土砂を運ぶためひっきりなしに出入りするダンプカー。坑内には常にごう音が響く。
 工事を請け負う鹿島・東急共同企業体(JV)の西川幸一工事所長は「通常ならアームは1本。この現場では少しでもスピードを上げるため2本にして効率化を図った」と説明する。
 掘削開始は14年11月。本坑と共に、緊急車両などが通行する5045メートルの避難坑の整備を担う。
 通常は3、4本のアームの先のドリルで岩盤に細長い穴を開け、火薬を仕掛けて爆破させるが、ここに投入されたのは最新重機「ドリルジャンボ」。アームは5本で掘削スピードが従来の半分で済む。
 同道路は11年11月、沿岸を南北に結ぶ「復興道路」の三陸沿岸道路(八戸−仙台、359キロ)と共に事業化が決まった。

<4ヵ所から進行>
 国は全体の整備目標を「おおむね10年以内」と示した。通常の道路工事の期間は用地取得なども含め、平均14〜15年。かつてない大規模な道路整備は工期との戦いでもある。
 掘削方法にも工夫を凝らした。一般的には2カ所の出入り口から中央へ掘り進めるが、「それだけでは工期が間に合わない」(西川所長)。避難坑を東西から先に掘り、そこから本坑に作業坑を通した。計4カ所から中央に向かって掘り進める方式だ。
 掘削距離は7月末で1734メートル。西川所長は「求められる作業スピード、使う機材、現場の環境。いずれもこれまで経験のない現場だ」と気を引き締める。
 工期短縮と合わせ、工事現場での慢性的な職人不足に対応した現場もある。宮古市北部を通る三陸沿岸道路の摂待(せったい)大橋。高さ40メートルほどの高架橋工事だ。
 一般的には橋脚の基礎となる鉄筋や基礎の外側にはめる型枠は、鉄筋や部品を1本ずつ地上から高所に運び組み立てる。それを地上であらかじめ一定の大きさに組み、クレーンでつり上げる工法を採用した。
 高所作業の減少で事故の危険を回避し、人手は通常の3分の2程度で済んだ。工期は2カ月ほど短縮できたという。
 東北地方整備局三陸国道事務所の平岡弘志副所長は「地域の復興に寄与することが最大の使命。一日も早い道路開通が望まれている。施工業者や自治体と連携した進捗(しんちょく)の管理が欠かせない」と話す。


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2016年08月10日水曜日


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