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<三陸沿岸道>プロ集団に業務を委託

釜石南IC建設現場で工程を確認する広瀬さん(右端)ら事業促進PPPチーム。工事の遅れが出ないよう施工業者と情報共有を図る=釜石市唐丹町

◎岩手復興 大動脈北へ(17)民間活用

<国事業で初導入>
 山裾を切り開いた土地に、盛り土の巨大構造物が姿を現し始めた。
 釜石市南部の唐丹町。険しいカーブや急勾配が続く国道45号脇で、三陸沿岸道路釜石南インターチェンジ(IC)の建設が進む。
 国道と直結する取り付け道路やIC設備は、大量の土砂の上に造られる。その量は、東京ドーム1杯分に相当する130万立方メートル。近隣のトンネル掘削工事で出た土を使う。
 復興道路として工期短縮が求められる現場には、国の公共事業で初めて導入された制度がある。用地取得や工程管理を官民連携で行う「事業促進パブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)」だ。
 この導入により、従来は東北地方整備局の職員が担っていた地元説明会や関係機関との協議、用地取得の業務も民間に委託できるようになった。
 道路工事は事業化から着工まで通常4年かかるというが、釜石南ICがある吉浜釜石工区は2年半で着工にこぎ着けた。工事は2014年3月に始まり、完成は18年度を見込む。
 同工区では建設会社や建設コンサルタント会社の社員6人が事業促進PPPチームを組んだ。豊富な現場経験を持つプロ集団が事業マネジメントを受け持つ。
 リーダーに当たる管理技術者の広瀬俊文さん(62)はゼネコンでトンネル工事に携わってきた。主に盛り土に必要な土砂量と各地から運ばれてくる資材量の調整を手掛ける。
 「土砂の搬入が遅れると工事が止まってしまう。関係機関と情報を共有し、常に先手を打って対応することも適切な事業管理に必要だ」と取り組みの意義を説明する。
 現場の照明設備に電力を送る電線の位置、作業員が使う水道の設置場所なども検討する。盛り土が進み高さが増せば、電線や水道は場所を変える必要がある。広瀬さんは「細かい部分に気付くのも、施工経験があればこそ」と言う。

<工事に集中 利点>
 施工する鹿島の新岡尚幸工事事務所長は「用地取得の状況や地盤の特徴など、従来は施工業者が事前に調査した部分の情報が整理され、助言ももらえる。工事に集中できる環境が整いとてもありがたい」と制度の利点を指摘する。
 東日本大震災後、新たに事業化が決まった三陸沿岸道路は岩手県内だけでも187キロ。震災前の三陸国道事務所の事業区間が43キロだったことと比べれば、事業量は約4倍に増えた。
 事業促進PPPは現在、宮古盛岡横断道路(100キロ)も含め計10チームが配置され、工期短縮を目指している。大動脈を北へ延ばす大きな推進力だ。
 東北地方整備局南三陸国道事務所の武田滋生副所長は「事業促進PPPが存在することによって、全体の調整や工程管理がスムーズに進むようになった。官民の連携で工程通りの開通を目指したい」と話す。


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2016年08月11日木曜日


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