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祈りと希望込め被災地描く 知的障害者が個展

絵画展に出品する絵を描く田崎さん=陸前高田市横田町

 知的障害がある陸前高田市の画家田崎飛鳥さん(35)が、東日本大震災で被災した同市を題材に創作を続けている。祈りや希望を独特の色使いで表現する。「きれいな感性に障害はない」。相模原市の障害者施設殺傷事件で社会のありようが問われる中、震災月命日の11日に始まる絵画展に、家族は特別な思いを寄せる。
 田崎さんは震災前、自然豊かな気仙川沿いの気仙町の自宅で創作に励んだ。父実さん(69)と母美代子さん(64)の支えで、動物の家族を中心に、穏やかなアクリル画を描いた。
 自宅は津波で全壊し、約200点あった作品や画材を失った。自宅跡に行っても震えながらずっと山を見詰めた。激しく動揺した。
 田崎さんを気に掛けてくれた近隣住民たちも犠牲になった。「感謝の思いで描いてみないか」。実さんが提案した。震災から約3カ月後、初めて手掛けた。
 壊滅的な被害を受けた市街地では、建物が次々と解体されていった。「できるのは絵に残すこと」。亡くなった多くの人に祈りを込め、市民体育館や市民会館、市役所などの絵に、花やフクロウ、ハトを描いた。
 当初、以前では考えられないほど強い色を使ったり、激しい塗り方をしたりしていたが、次第に和らいだ。「言えない分、色にぶつけていたんだろう」と実さん。今は、復興工事で変わる街や道をテーマに、希望を持って古里を表現する。
 絵画展は11〜31日。同市のひまわりハウスや箱根山テラス、市民交流プラザ、普門寺、再建した自宅アトリエで、テーマ別に計30点前後を展示する。スタンプラリーを企画し、多くの人の来場を願う。
 自宅敷地には、美代子さんがパン工房を構える。豊かな絵と味で、来場者を温かくもてなす。実さんは「障害者が当たり前のように地域で生きられるよう、普段から結び付きを強めたい」と話す。


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2016年08月11日木曜日


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