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<三陸沿岸道>官民連携 ノウハウ共有

川滝弘之(かわたき・ひろゆき)早大院卒。85年旧建設省入り。国交省道路環境調査室長や東北地方整備局道路部長、観光庁観光地域振興課長などを経て2015年7月から現職。56歳。神奈川県出身。

◎岩手復興 大動脈北へ(18)加速の鍵

 国が東日本大震災から10年以内の全線開通を掲げる三陸沿岸道路(仙台−八戸、359キロ)は、岩手県内を中心に各地で大規模工事が加速している。全通へのスケジュールや早期完成を目指す方策について、建設を進める東北地方整備局の川滝弘之局長に聞いた。

<総延長44%開通>
 −工事の進捗(しんちょく)状況は。
 「課題の用地買収は本年度内にほぼ完了する見通しだ。国の復興期間の終了時期に当たる2020年度内の整備完了を視野に入れ、加速を目指す。総延長359キロのうち、44%に当たる158キロが開通した。岩手県内では、そのうち65キロが開通している」

 −開通見通し時期を順次公表している。
 「岩手県内分は一部区間を除き17〜20年度の開通予定を示した。未定区間もできるだけ早く公表したい。19年には釜石市が会場の一つとなるラグビーワールドカップがある。釜石から南の区間は18年度内の整備完了を目指す」
 「開通時期は通常、1年ほど前に公表する。開通時期はまちづくりの目標になり、民間企業が沿岸への立地を検討する際の一つの目安にもなりうる。めどが付いた区間からできるだけ早く示す」

 −三陸沿岸道路など復興道路に復興支援道路を加えた概算事業費は1兆4000億円と言われている。
 「できるだけコストを削減するため道路設計を見直し、インターチェンジ設備も簡素化している。高規格道路は通常、片側2車線だが、1車線にして余分な用地取得の費用も抑えた」

<用地買収で工夫>
 −早期完成への工夫は。
 「着工前の作業をどれだけ短縮できるかが鍵。従来の用地買収はルートをある程度決めて地権者と交渉してきたが、今回は地籍図などで事前に調べ、権利関係が複雑な共有地や発掘が必要な埋蔵文化財がある土地は避けて用地交渉に入った。取得に時間がかかりそうな場所は当初のルートを変更している」

 −工程管理を官民共同で行う事業促進パブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)の効果は。
 「当初は用地取得や地元説明会など、職員だけでは人手が足りない部分を補ってもらう点で効果を期待した。工事が本格化した現在は、段階に応じて施工の経験や知識がある人材が集まっている。技術的な助言をもらう場面は多く、民間のノウハウを生かして効率化を図っている。制度の全国的な展開も検討している」

 −道路網を三陸地域の振興にどう生かすか。
 「岩手沿岸は交通網が脆弱(ぜいじゃく)で何事も連携が難しかったが、震災後に一気に約200キロが事業化された。これほどの距離は全国的に類を見ない。道路で各地域の交流が密になれば、街ごとの機能分担も可能になる。三陸が一つにまとまることが一番の効能。観光や産業振興の面で三陸は想像以上に変わるだろう」


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2016年08月12日金曜日


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