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震災教訓 中学卒業生「いのちの教科書」作り

教科書づくりについて報告する守る会のメンバー

 東日本大震災の体験や教訓を記した中学生向けの副読本「女川いのちの教科書」の製作を進めている「女川1000年後のいのちを守る会」は11日、宮城県女川町内で報告会を開いた。「命を守るため多くの人に読んでもらいたい」と来春の完成を目指していることを報告し、出版への協力を求めた。
 守る会のメンバーは女川中出身の高校3年生。中学時代に津波到達点を知らせる石碑の建立を始め、活動の過程で「命を守る教科書が必要だ」と感じた。約15人で高校入学後、教科書作りを進めてきた。
 いのちの教科書は84ページを想定。町の津波被害や津波対策、地震・津波のメカニズム、震災の記録など8項目を盛り込んだ。
 メンバーの合言葉は「1000年後の命を守るために」。教科書では、(1)絆を強める(2)高台に避難できるまちづくり(3)震災の記録を残す−の三つの柱を提示し、「太陽光パネルを活用した避難誘導灯と避難路を整備する」といった具体的な実践例も示した。
 多くのページを生徒の震災体験に割いた。常盤木学園高(仙台市)3年の神田七海さん(18)は津波で祖父を亡くし、震災2年後、心の糸が切れた。「生きることが怖い」。気持ちを母に伝えると「周りの人はみんなあなたを愛している」と言われ、救われたという。自分らしく生きることが命を大切にすることだと思えるようになったとつづる。
 守る会長の石巻好文館高3年阿部由季さん(18)は「命を守る対策をこの教科書から学んでもらえればうれしい」と話す。
 ただ、出版は具体化していない。中学時代から見守る東松島市矢本二中の阿部一彦教頭(50)は「メンバーが高校を卒業するまでに形にしたい」と出版への協力を呼び掛けている。


2016年08月13日土曜日


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