岩手のニュース

仮設退去者増え 無料の朝カフェ閉店へ

常連の人々と談笑する中川さん(左から3人目)

 岩手県陸前高田市の高田高の仮設住宅集会所で、2012年4月からほぼ毎朝続いた無料カフェがまもなく「閉店」する。朝食後に気軽に立ち寄れる入居者の憩いの場だった。東日本大震災から5年5カ月がたち、仮設を退去する人が増えたため区切りとした。
 「珈琲(こーひー)日和」と名付けたカフェは、午前8時から2時間程度、集会所の入り口付近でオープン。震災前まで市内で喫茶店を営んだ中川聖洋さん(74)がマスターになってコーヒーを入れる。
 仮設で暮らす人や以前に入居していた人が訪れ、持ち寄った手作りの菓子、漬物などをつまみながら、世間話を楽しむ。
 豆、機材、カップなどは、高田高の仮設に復興支援で来た長野市の喫茶店「珈琲日和」が提供してくれた。中川さんは日々、別の仮設住宅から自転車で約20分かけて通った。住民たちも協力し、ほぼ毎日続けた。
 「おはよう。飲んでって」。カフェから気さくに声を掛け、ほかの仮設住宅入居者、学生ボランティア、旅行者などへも交流の輪が広がった。元仮設入居者で常連の柳下サキ子さん(64)は「参加し始めて、自分も積極的になれた」と話す。
 約150世帯が入居していた高田高仮設は約50世帯になり、来場者が減った。中川さんもお盆後に災害公営住宅に移る。「やめるいい潮時」と判断した。
 11日、集まった人たちから感謝の花束を受け取った中川さんは「憂さ晴らしになってくれればいいと続けてきた。(充実していて)今後、部屋に閉じこもらないか心配」と笑った。


2016年08月13日土曜日


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