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<絹の道と東北経済>物流拠点、続々と完成

ハルビン市郊外の鉄道貨物の集積駅。列車はドイツ・ハンブルクに向かう

 13億の人口を抱え、世界第2位の経済大国となった中国。現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路で周辺国と連携を強め、さらなる成長を狙う。日本との交易や交流人口の拡大も図りたい考えだ。在新潟中国総領事館の企画で訪ねた拠点都市から、東北との経済交流の可能性を探った。(報道部・田柳暁)

◎対中交流のあした(上)戦略

<船便の3分の1>
 貨車の長い列は800メートルにも及ぶ。広大なスペースにコンテナが整然と並び、積み込みの時を待つ。
 中国東北部、黒竜江省の省都ハルビン市にある貨物列車の集積駅。第1便は昨年6月に出発し、シベリア鉄道を経由してドイツのハンブルクに電子機器や自動車部品を届けた。
 距離は9800キロ。かかる日数は半月で、船便の約3分の1で済む。コストは空路より安い。週1回、列車を運行する哈欧(はおう)国際物流の顔洪副社長は「日本企業の利用はまだない。あれば歓迎したい」と期待する。
 長大なルートは、かつて繁栄をもたらした「絹の道」にあやかり、習近平国家主席が提唱する国家的な外交・経済戦略「一帯一路」の一環で整備された。

<内陸でも「港町」>
 戦略に沿い、中国は東西を結ぶ道路や鉄路、港湾、送電網、石油パイプラインを次々に建設。周辺国への投資にも乗り出し、経済交流の大動脈づくりを急ピッチで進める。
 上海市では中国最大の港湾・洋山深水港の機能を強化した。国際コンテナ取扱量は年間3700万個(20フィートコンテナ換算)で、仙台港の160倍。着岸スペースを増やし、ハブ港湾としての価値をさらに高める。
 上海市外事弁公室の傅継紅副主任(50)は「一帯一路は中国一国のものではない。周辺国と互いに発展する互恵の関係を築きたい」と説明する。
 吉林省最東部の琿春(こんしゅん)市も物流の拠点整備が進む。内陸の省だが、中国における位置付けは「港町」。ロシア極東と接し、日本海に面したロシアのザルビノ港まで約70キロ。港で荷揚げした貨物を鉄道に載せ、琿春市経由で各地に運ぶ計画だ。

<冷静に見極めも>
 周辺国との経済交流を図る中国の戦略に、東北各県の見方はさまざまだ。
 「東北の日本海側の玄関口」として秋田港の利用促進を目指す秋田県は、一帯一路に強い関心を示す。環日本海地域の経済交流活性化に向け、官民で中国やロシアに働き掛けてきた。
 中国との海運航路は現在、韓国・釜山経由で中国東北部の大連市や上海市に向かうルートが主流。亜鉛などを輸出し、電気機器や衣類を輸入している。
 「日本海を横断し琿春市を通るルートが使えれば、より効率的に輸送できる」と県商業貿易課。本年度中に職員を琿春市に派遣し、利用可能性を探る。
 一方、太平洋側の県の担当者は「一帯一路構想に日本は明確に位置付けられていない。中国以外のアジア各国の重要性も相対的に高まっている」と冷静に見極める。

[一帯一路]中央アジアを通って欧州を目指す陸路「シルクロード経済ベルト」と、沿岸を南下しインド、中東、欧州に向かう海路「21世紀海上シルクロード」が主軸。中国主導で設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)が資金支援する。経済的側面のほか、アジア圏での中国の影響力拡大を狙った戦略との指摘もある。


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2016年08月14日日曜日


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