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<リオ五輪>グレコ太田銀 隣の「金」次こそ

レスリング男子グレコローマン59キロ級でキューバのボレロモリナ選手(右)が獲得した金メダルを見つめる銀の太田選手=リオデジャネイロ

 輝く宝物を手にしても笑顔はない。リオデジャネイロ五輪レスリング男子グレコローマンスタイル59キロ級で銀メダルを獲得した太田忍選手(22)=ALSOK、青森県五戸町出身=は「世界で一番強くないと駄目だ。隣で見た金メダルは格好よかった」と悔しそうに振り返った。

 表彰台に上がった4人のメダリストのうち、太田選手だけ表情が硬かった。「表彰式の間、何が悪かったのかをずっと考えていた」。首から提げた銀メダルを「重いと言えば重い」。目指した色は手の届く距離で輝いていた。
 「オリンピックに行きたい」。小学3年の太田少年は全国大会で優勝し、レスリングを指導してくれた父陽一さん(50)に訴えた。
 「あいつが行きたいって言ったんだから。厳しくするのは当たり前さ」。周囲にはスパルタに映ったが、息子を強くするためにためらいはなかった。レスリング漬けの日々が本格化する。
 陽一さん自身、社会人までレスリングを続け、ロサンゼルス五輪銀メダリストの赤石光生氏(弘前市出身)と対戦経験のある実力者だった。
 家の廊下、自宅そばの小屋を練習場に小学生の太田選手を鍛えた。中学生になると使われなくなった縫製工場に場所を移した。冬は壁の隙間から粉雪が舞い込んだ。モットーは「自分で考えて闘え」。厳しい環境でハングリー精神を植え付けられた息子は、父の想像を超える選手に育った。
 「忍はポイントを取られるのを恐れない。取られても取り返そうとする。超攻撃的」。父の言葉通り、初めて立った五輪のマットで、観衆を沸かせた。
 約1カ月前、陽一さんから太田選手に電話が掛かってきた。
 「おまえはたぶん銀メダルを取る。悪いけど」。夢で見たという父の予言に「いらっときた。絶対金を取ってやる」。レスリングを教えてくれた最初の師匠の言う通りになった。
 22歳の若武者はすでに前を向いている。支えてくれた家族にはこう伝えるつもりだ。「4年後(の東京五輪で)金メダルを取るよ」(リオデジャネイロ・剣持雄治)


2016年08月16日火曜日


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