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<東京五輪>東北産材活用 期待高まる

屋根構造に大量の木材を用いる新国立競技場の完成イメージ(大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV作成/JSC提供)

 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、東北などの木材供給地域で、関連施設での国産木材活用への期待が高まっている。「木と緑のスタジアム」を掲げる新国立競技場は国産材の使用が特徴の一つ。各施設における木材の調達計画の詳細は不明だが、各産地は採用に向けた準備を着々と進める。(東京支社・小木曽崇)
 新国立競技場は1964年東京五輪で使った旧国立競技場の跡地(新宿区)に整備する。12月着工、19年11月完成の予定で、設計・施工は大成建設と隈研吾建築都市設計事務所、梓設計の共同企業体(JV)が担う。
 事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)などによると、調達する木材は2000立方メートルを見込み、2013年度に国が整備した公共建築物の木材使用量の3割に匹敵する。大半を使用する屋根の骨組みはカラマツとスギ、鉄骨のハイブリッド構造を採用。日本の伝統的建築で用いられるひさしを施す競技場外周にはスギを用いる。
 JVの担当者は2月、政府の会合で「スギは全国各地から、東北・北海道などにあるカラマツは1カ所でなく複数から調達する」と説明したが、具体的な調達計画は示されていない。
 吉村美栄子山形県知事は7月下旬、遠藤利明五輪相(当時)と会い、新競技場の観客席は国産木材を使った製品にするよう要請した。遠藤氏は雨や日光に対する耐久性を検証する必要性に言及。林野庁は、樹脂製の椅子と同等の性能を確保する製造技術をメーカーなどから募っている。
 政府の大会推進本部事務局によると、バレーボール会場の有明アリーナ、体操競技会場の有明体操競技場(ともに江東区)、選手村内で生活必需品を販売する店が入るビレッジプラザ(中央区)の新設3施設でも木材使用が見込まれる。
 有明アリーナは東京都が整備し、約1000立方メートルの木材を使う計画。担当者は「実際に調達するのは建設会社で、来年ごろにどこからどの程度調達するか決まる見通し」と説明。他の2施設を整備する大会組織委員会は「木材使用量や調達計画は未定」と話す。
 関連施設に供給する木材には一定のハードルがある。都や組織委は森林の持続可能性の観点から、環境に配慮した森林管理を促す国際機関「森林管理協議会(FSC)」や、国内の一般社団法人「緑の循環認証会議(SGEC)」による認証を条件に設ける。新国立競技場も、大成建設などのJVはFSCなどの認証を受けた森林から調達する方針を打ち出す。
 東北では宮城県南三陸町や岩手県住田町、岩泉町の森林所有者が認証材の安定供給を目指して連携する動きが出てきた。山形県林業振興課の担当者は「現状では県内供給者は認証を受けていない。認証取得は急務」と県産材売り込みに向けた課題を挙げる。


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2016年08月17日水曜日


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