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<リオ五輪>逆転の女王「気持ちで取れた」

女子58キロ級決勝 ロシアのコブロワゾロボワ(左)を下し五輪4連覇を決めた伊調

 リオデジャネイロ五輪第13日、レスリング女子58キロ級の伊調馨(ALSOK、八戸市出身)は、決勝でコブロワゾロボワ(ロシア)に終了間際の逆転で判定勝ちし、五輪全競技を通じて史上初の女子個人種目4連覇を達成した。
 「始まる前から戦うのが怖かった。こんな五輪は初めて」。女王がめったに見せない弱気。マットの上でそのまま表れた。残り10秒を切り1−2。劣勢を覆すのもまた、女王の強さだった。「(負けは)意識しなかった。ほっとしている」。女子58キロ級決勝で伊調がコブロワゾロボワを破り、女子史上初の4連覇を達成した。
 30分ほど前、同じマットで最終盤で逆転勝ちを収めた48キロ級の登坂の姿を見て「こういう勝ち方にならないように」と注意していたはずだった。
 勝ち負け以上に「レスリングの追究」に重きを置いてきた。毎試合ごとに2、3のテーマを掲げ、マットに向かう。決勝戦前「勝ちにこだわらないといけないと思ったり、自分のレスリングを出したいと思ったり、気持ちが入り交じった」。迷いが硬さを生み、思わぬ苦戦を強いられた。
 中学卒業まで伊調を教え、観客席で見届けた沢内和興さん(69)=青森県レスリング協会会長=は「一番練習したっていう気持ちがあったから最後まで攻め切れた」と勝因を挙げ、本人も「気持ちで取れた」と振り返る。
 昨年9月の世界選手権。現地で10度目の優勝を見守った沢内さんは伊調の不満そうな顔を覚えている。「試合、面白くなかったんだろう?」。黙ってうなずいた伊調が帰国後すぐに「今、練習しています」とメールを送ってきた。
 「あれだけの選手なのに休まない。気になったらすぐに練習する」。恩師も驚くしかなかった。
 前人未到の快挙にも「金メダルは満足だが、レスリング選手としては出直して来いという感じ」と自分への厳しさは相変わらずだ。「やっぱりレスリングは難しい。環境によって気持ちの変化がある。改めて、心技体のスポーツだと思う」。重いメダルが一つ増え、探究心はさらに増した。
 東京五輪での5連覇挑戦は「今は考えられない」と明言を避けた。でも「練習? したいです」。無敵の女王の挑戦は終わる気配がない。(リオデジャネイロ・剣持雄治)


2016年08月19日金曜日


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