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<仙台市長2期目>震災の修羅場経て自信

子ども医療費助成の充実強化を求める要望書を市議会4会派の代表から受け取る奥山氏(中央)=5月19日、仙台市役所

 奥山恵美子仙台市長は22日、2期目の任期の最終年に入った。出身母体の市役所と二人三脚の市政運営は安定しているが、東日本大震災を挟んだ在任7年で「奥山流」は様相を変えつつある。市長選まで1年。現在の「座標」を読み取る。(報道部・関川洋平)

◎奥山流の座標(上)政治家の顔

<まだアマチュア>
 100万都市を仕切る政治家のプライドを、珍しくむき出しにした。
 「いつまでも『県が、県が』と言っていられない」
 子どもの医療費助成の充実強化を巡り、奥山市長は5月19日、市議会4会派から要望書を受け取った。実現には宮城県の補助拡大が鍵を握る。見通しがない中、奥山氏は市独自の拡充を決断。直ちに担当部局に制度設計を指示した。
 制度拡充を求める県内市町村長のリーダーとして、奥山氏は村井嘉浩知事と以前から対峙(たいじ)してきた。市議会の場で「県の努力が足りない」と挑発すれば、村井氏は県議会で「他自治体が制度を充実させれば、仙台市からの移住促進につながる」とけん制。県と政令市のつばぜり合いが続いた。
 一方で、市は内々に制度拡充に向けた検討を進めていた。対象年齢を広げる場合の経費を36パターンで試算。市議会主要会派には意見統一を働き掛け、要望書という「決断の大義名分」(市議)を得た。
 奥山氏の指示から約1週後。慎重姿勢を崩さなかった村井氏が突如、県の制度拡充を打ち出した。県の担当部局ですら「全く検討していなかった」という方針転換。奥山氏は肩すかしを食う形になった。
 市の担当部局は市長指示の直後、県に市の方針を伝えていた。「市の動向を察知した村井氏が先手を打った」。市議の一人は村井氏のしたたかさにうなった。
 「政治家になりきれていない。まだアマチュア」。昨年8月、河北新報社のインタビューで奥山氏は自らをこう評した。「優秀な行政官だが政治家として発信力に欠ける」と物足りなさを指摘する見方は根強い。
 ただ、2期目の後半に入り、従来の印象と異なる顔を見せ始めた。

<歯切れ良さ増す>
 「想定を超える憲法との結び付きで驚いている」。東日本大震災を踏まえ、自民党が改憲草案に盛り込んだ「緊急事態条項」。奥山氏は昨年5月の定例記者会見で、大規模災害など緊急時に首相へ権限を集中させる同条項への違和感を隠さなかった。
 今年6月の市議会の一般質問では「条項が必要という認識には立てない」と答弁。涼しい顔で言い切る奥山氏に、質問した市議ですらあっけにとられた。
 再延期された消費税再増税を巡っては、5月の記者会見で「増税の方向で決断してほしい」と発言。安倍晋三首相が再延期判断を「7月の参院選で国民に信を問う」と表明すると、「やや近視眼的な争点の立て方だ」と一刀両断にした。
 奥山氏と知己の商工関係者は「思ったことを口にするのが彼女の持ち味。本質的には変わっていない」と言うが、市幹部は「震災の修羅場を経て、2期目は明らかに自信を付けた。『スーパー市職員』から、ようやく『政治家』に変わりつつある」とみる。
 歯切れの良さを増す言動、頭をもたげる政策断行への意欲。「奥山流」の本領は市民にどう発信されるのか。問われる任期最終年が始まった。


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2016年08月22日月曜日


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