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<雄勝に生きる>地域の宝 浜辺で育てる

海釣りを楽しむ大須小の児童ら

◎半島の再生記(2)/(中)楽しむ

<海で思い出作り>
 浜辺に子どもたちの笑顔が広がった。
 7月下旬、宮城県石巻市雄勝町桑浜地区。「うみねこキャンプ」と称する同市大須小の催しがあった。海での活動や学校での宿泊を通じて思い出を作り、古里への理解を深める。
 2〜6年の全児童5人が漁船に乗り、カレイやアイナメを釣った。海中の養殖ホヤ、体長50センチ以上のハモも見た。桑浜漁港では、同市大須中の生徒と一緒にスイカ割りやバーベキューを満喫した。
 5年永沼海生(かいせい)君(11)は「みんなで釣りをしたりスイカ割りをしたりして楽しい」と声を弾ませる。
 永沼君と妹の4年ちはるさん(9)は年に数回、父親の仁一さん(58)の漁船で海に出る。日頃は桑浜地区の自宅でウニの殻むきの手伝いをする。
 仁一さんは桑浜地区に生まれ育ち、幼い頃はよく浜で遊んだ。地元の高校を卒業後、1990年ごろまでは遠洋漁業をしていた。

<大須小は統合へ>
 現在、地区に暮らすのは約15世帯。東日本大震災で住宅や船が被災し、少子高齢化が加速した。同じく大須小学区の羽坂、熊沢両地区に児童はいない。
 「子どもは宝。地域で子どもを大事に育てている。学校生活や豊かな自然との触れ合いを楽しみながら、将来やりたいことを見つけてほしい」。仁一さんの望みだ。
 大須小は2002年4月、旧大須小と旧桑浜小の閉校に伴い誕生した。だが、児童数の減少や震災の影響で本年度限りで学校を閉じ、来年4月に同市雄勝小と統合する。
 桑浜地区の高台に複合体験施設「MORIUMIUS(モリウミアス)」がある。築約90年で木造の旧桑浜小校舎を改修。全国や海外から子どもたちが訪れる。宿泊して農林漁業を学ぶなどするプログラムを提供している。

<子どもの姿励み>
 桑浜漁港の近くに住む永沼きよ子さん(81)は、旧桑浜小が学びやだった頃を思い出す。児童の給食や単身赴任の先生らの食事を提供していた。「おいしそうに食べてくれるのがうれしかった」と懐かしむ。
 夫と長男は震災前に亡くなった。2人が残した自宅は津波の被害に遭わずに済んだ。今はのんびりと日々を過ごす。
 地区に子どもの姿が少なくなった。「地元に子どもがいるとにぎやかで、見ている私も楽しくなる」。浜辺に響く笑い声が消えないでほしい、と願う。


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2016年08月22日月曜日


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