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<仙台いやすこ歩き>(41)しそ巻き/専用シソで食感パリッ

 埼玉県に住むおばが電話の向こうで話す。「夏にはしそ巻きを作ったものよ、こっちに来てからも。ふるさとの味だものねぇ」。そうか、しそ巻きはふるさとの夏の味かと思っていると、今度は「仙台市内に、しそ巻きを作って売っている店があるらしい」という情報を耳にした。いやすこ2人は、早速バスに乗って太白区西多賀へ。
 国道286号から旧道に入って程なく、三神峯公園の先のバス停「西多賀市民センター前」で下車する。きょろきょろ見回す先に、粋なお店が。画伯が「料亭みたい」といったお店こそ、目指す「海野味よしの」だった。
 店先には「手づくり備長炭炭火焼笹かまぼこ」と筆で大書されている。それが何ともおいしそうで、引き込まれてしまう。案の定、「いつも入りたいと思っていて、来て以来ファンになったのよ」という人など、次々とお客さんがやって来る。

 「お待たせしてしまって」と申し訳なさそうに、優しい笑みを浮かべた野木美穂さん(45)に話を伺う。店の代表である野木康男さん(47)の奥さんだ。
 先代は40年以上前に現在の大崎市古川でしそ巻きの製造・卸を開業し、デパートなどに納めていたという。ここに移転してからも製造・卸一筋だったが、「夫が店舗を持ちたいと、しそ巻き以外にかまぼこ作りも始めたんです」。ほぼ独学でかまぼこ商品を開発し、3年前にこの店をオープンさせた。
 店の名の通り、海や野の恵みを生かし、体に優しい素材だけで手作りするのがモットー。かまぼこもそうだが、しそ巻きも徹底している。
 しそ巻きの材料となるシソは、県北の契約農家が生産。シンドフジといって、色が青々とし、口の中にゴモゴモ残らないしそ巻き専用の品種だ。みそは3種をブレンドし、練りゴマやいりゴマ、ごま油、それに受け継がれた秘伝のたれが入る。
 このみそをベースに「ごま胡桃( くるみ )味」「青南蛮味」「にんにく味」の3種類の商品を作る。繁忙期の今、にんにく味は一時お休み中。他の2種類を、お茶と一緒にいただく。

 ごま胡桃味はコクがあって香ばしい。一口食べた途端、切に白いご飯が欲しくなる。さて、青南蛮味はというと、甘味の後にピリッ。うま味みそに数カ月漬け込まれた青南蛮が効いて、味わい深い。「これ、ビールに合うね」と、今度はがぜんビールが欲しくなる。
 どちらもパリッとした食感が飛び抜けている。「さっぱりと揚がる国産の米油を使っています。温度と時間がこつです」と美穂さん。週2回、シソが入荷するとしそ巻き作りをするそうだが、その数、800〜1000個。巻く作業は人の手でないとできない。
 商品名は「しその葉巻」。康男さんが厨房(ちゅうぼう)で丁寧に巻いて揚げる様子がほうふつとする。同時に昔、お母さんたちが夏にたくさん採れるシソの葉で一枚一枚わが家の味を巻き、大切な保存食にもしてきた、そんなふるさとの心まで感じさせられた。
 夕げに出したしそ巻き。しみじみとした味に、今度は自分でも作ってみたいと思った。

 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。
=次回は9月5日掲載=

◎伝統の滋養豊かな郷土食

 しそ巻きは、宮城県の他に福島県や岩手県、東北以外では静岡県などでも作られる。
 シソは古くは薬草としても重宝され、発酵食品の代表ともいえるみそや、ビタミン豊富な青南蛮などが入ったしそ巻きは、滋養豊かな郷土食として今に受け継がれている。

 <作り方>
 【材料】みそ150グラム、青南蛮2本、青シソ・砂糖・薄力粉・油は適宜。他にゴマやクルミなどを入れることも多い。
 (1)青シソの葉は洗い、葉柄を取って水気を拭いておく(2)青南蛮は刻む(3)厚手の鍋にみそ、砂糖、薄力粉と(2)を入れて混ぜ、火にかける。鍋底を木べらでこすりながら練りみそを作る。この時、水を少々加えると練りやすい。やや軟らかめの状態で火を止めて冷ます(4)練りみそを適量取り、棒状にまとめておく(5)青シソの葉の表を下にして、葉柄側に(4)を載せ、葉先に向けてくるくる巻いて3〜4本ずつつまようじに刺す(6)170度に熱した油に入れ、一度裏返して揚げる。


2016年08月22日月曜日


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