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<秋田新文化施設>駐車場決まらず見切り発車

新文化施設の建設予定地になっている秋田県民会館

 秋田県と秋田市が共同で市中心部に建設を計画する新文化施設を巡り、専用駐車場の場所が決まらず宙に浮いた状態になっている。候補地の地権者が土地売却に応じなかったためだ。新文化施設は郊外に建設を求める声がある中、駐車場とセットで整備するという前提で市中心部に決まった経緯がある。駐車場の代替地案を示さないまま計画策定を急ぐ県と市に対し、一部の県民は「なぜ議論を深めないまま計画を進めるのか」と不信感を募らせる。(秋田総局・今愛理香)

 県と市は昨年9月、新文化施設を県民会館を解体した跡地に整備すると発表。駐車場の候補地には、県民会館の約500メートル西で、大型スーパーなどが入っていた同市大町の秋田ニューシティの跡地(約7000平方メートル)を示した。

<地権者が不同意>
 ところが今年6月の県議会定例会で、跡地の地権者が土地売却に同意しなかったことが明らかにされた。佐竹敬久知事は「可能な限り新施設に近い場所に専用駐車場を設けたい」と答弁し、引き続き県民会館周辺で探す意向を示した。
 新文化施設の一般利用者向け駐車場は、ホールの規模から最大約3000台が必要となる見込み。県と市は「半径500メートル圏内に既存の民間駐車場が約2000台分ある」と説明するが、週末を中心に既に満車状態で、専用駐車場の整備は不可欠だ。
 駐車場候補地が白紙になったことは、新文化施設の計画自体にも影響する。「施設の候補地は(ニューシティ跡地の)駐車場とセットで提案してきたもの」(民進党県議)だからだ。複数の県議からは「市中心部の専用駐車場が無理ならば、新文化施設は郊外も含めて改めて検討すべきだ」との声が上がる。
 ニューシティ跡地に代わる候補地に、県民会館に隣接する私立の秋田和洋女子高を推す声もある。複数の関係者によると、校舎を同校敷地内の別の場所に移してもらい、跡地を取得して整備するというもの。だが、保護者らの反対が予想されるため表面化していない。

<12月に掘削調査>
 県と市は今月6〜11日、秋田市など県内3カ所で県民との意見交換会を開いた。駐車場を同校に整備するよう求める声も出たが、県の担当者は「相手があるのでコメントは控えたい」と答えるのみ。駐車場の具体案は示されず、「形だけの意見交換会ではないか」と不満を漏らす出席者もいた。
 駐車場の問題を棚上げしたまま、県と市が計画を急ぐのには理由がある。中心市街地活性化事業を対象に国が5分の2を補助する社会資本整備総合交付金の申請期限が、来年3月末に迫っているからだ。
 新文化施設を郊外に建設すれば、補助金の対象外となる。そのため市は、駐車場の場所が白紙のままでも建設予定地を変更せずに、申請に必要な市街地活性化基本計画と文化施設の整備計画の策定を急ぐ。
 12月には県民会館の土地のボーリング調査が始まる予定。秋田市であった意見交換会では、「補助金ありきの建設は間違っている」と県民から厳しい声が飛んだ。
 秋田市と議論を重ねてきた小松健市議は「この段階になっても、県や市がどんなまちづくりを目指しているのかが分からない。建物ありきではなく、まずは理念をきちんと示すべきだ」と指摘する。

[新文化施設]秋田県民会館(秋田市千秋明徳町)と秋田市文化会館(同市山王)を統合し、2000席と800席のホールを整備する。2022年開館予定で、概算事業費は200億円を超える見込み。既存の2施設を統合させることで、建設費と管理費の削減を図る。


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2016年08月22日月曜日


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