宮城のニュース

<仙台市長2期目>「市役所一家」の声 再び

東日本大震災の災害公営住宅で被災者らと懇談する奥山氏。震災対応は庁内基盤を強固にした=2014年12月、仙台市若林区の荒井東災害公営住宅

◎奥山流の座標(中)安定の実相

<強気 議会と衝突>
 「『100万人の復興元年』から『復興実感の年』『復興躍進の年』と階段を着実に上ってきた」
 奥山恵美子仙台市長は市議会2月定例会初日の演説で、東日本大震災後の対応に自信をみなぎらせた。
 復興計画は2011年12月に策定された。市が設定した「5年」という期間には当初、計画の検討委員から「短すぎる」「国と宮城県は10年だ」など異論が相次いだ。奥山氏は「5年で実現するには難しい部分もある」と認めつつ「一日も早い復興で東北の復興をけん引する」と譲らなかった。
 市の復興計画は予定通り、3月で完了した。市内の災害公営住宅は全て完成。プレハブ仮設住宅からは9月にも全世帯が退去する。複数の市幹部は「5年という目標があって動きやすかった」と振り返る。
 奥山氏の強気は、結果的にプラスに作用した。市役所組織は結束を強め、求心力は高まった。市政は安定飛行するかに見えた。が、強気な姿勢は時に摩擦を引き起こすようになる。
 15年2月、市は市議会定例会に提出した「協働まちづくり推進条例」案を一部会派の反発を受けて撤回した。根回し不足による失態とも言える事態。右往左往する職員を尻目に、奥山氏は「嫌なら議会が否決すればいい」と言い放った。
 復興事業局を15年度いっぱいで廃止して文化観光局を新設する際も、議会は蚊帳の外だった。「特定議員への根回しは必要ないという考え方なのだろう。議会で質問しても素っ気ない回答をもらって終わりだ」。ある議員は、議会を意に介さない奥山氏の態度にいらだちを募らせる。

<対立 しこり生む>
 「市役所一家」。職員の強い結束を示す半面、身内でかばい合う体質を表した呼称が、ここにきて再び飛び交っている。
 「責任回避や取り繕いに流れてしまうような体質、風潮が市役所内にある」。青葉区選管の票水増し問題に関する市議会の調査特別委員会は15年6月、報告書で厳しく指摘した。問題が発覚した14年末以降、議会では「市役所一家」への言及が目立つ。
 この問題で、奥山氏は自らを3カ月の減給20%とし、不正に直接関与したり隠蔽(いんぺい)を図ったりした区選管職員3人を懲戒免職とした。
 「処分が釣り合わない」(市議)。市長の減給議案が提出された議会審議は紛糾した。所管する常任委員会は否決、本会議に移った審議で可決にこぎ着けた。奥山氏のメンツはかろうじて守られたが、議会との対立はしこりを生んだ。
 在職7年。震災を経た奥山氏の存在感は、市役所内で揺るぎないものになりつつある。一方で、議会には不満の種がまかれた。最大会派で与党の自民党内には「反奥山」を公言する議員が複数いる。なぎのようだった奥山市政に、さざ波がたち始めた。
          ◇         ◇         ◇
 奥山恵美子仙台市長は22日、2期目の任期の最終年に入った。出身母体の市役所と二人三脚の市政運営は安定しているが、東日本大震災を挟んだ在任7年で「奥山流」は様相を変えつつある。市長選まで1年。現在の「座標」を読み取る。(報道部・関川洋平)


関連ページ: 宮城 政治・行政

2016年08月23日火曜日


先頭に戻る