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<仙台市長2期目>現場との一体感 妨げも

国への要望書を石井啓一国土交通相(左)に手渡す奥山氏。「ポスト震災」の市政づくりへの意欲は強い=7月29日、国交省

◎奥山流の座標(下)1強の功罪

<幹部を大幅刷新>
 仙台市役所生え抜きの市長として7年。一枚岩に見えた奥山恵美子市長と職員の意識に、微妙なずれが生じている。
 「ごみ総量の減量に、新しい市民協働のやり方で取り組む」
 担当部局も寝耳に水の決意表明だった。1月4日の年頭訓示。奥山氏は幹部職員を前に、唐突にごみ問題に言及した。
 伏線はあった。ごみ削減は奥山氏が「約3年前からしつこく指示していた」(市幹部)案件。東日本大震災後、市のごみ総量は高止まりし、「環境都市」の名折れになりかかっていた。
 業を煮やした奥山氏は4月、人事に切り込む。環境局幹部を大幅刷新し、施策の徹底的なスクラップ・アンド・ビルドを命じた。
 ごみ問題に限らず、職員が奥山氏の厳しい「査定」を受ける場面は増えている。
 「これが市民に何の意味があるのか」「役所のきれい事で逃げないで」。前例踏襲や検討不足を理由に書類を突き返される。施策を説明した後に長い時間、不満げな沈黙にさらされる。
 局長級職員の一人は「まず市長に聞いてみよう、という甘えの空気がある」と自戒する。市民局次長、教育長、副市長を務めた奥山氏は施策全般に精通する。説得どころか、議論にすら腰が引ける職員が目立つ。
 「市長の意識は7年間で大きく変わり、要求水準も上がった。それが職員に浸透しているとは言い切れない」。間近で見てきた藤本章副市長はこう指摘する。

<対話減り意識差>
 意識差を生む要因に、日常的な対話不足がある。奥山氏が2009年の初当選直後に始めた若手職員とのランチミーティング。意見を聞き、自身の考えを伝える場だったが、震災で中断されたままだ。
 奥山氏が好む、職員に考えさせる手法も功罪相半ばする。自発的な検討を促され、期待に応える職員がいる半面、市長の真意を測りかね困惑する職員もいる。
 14年末に発覚した青葉区選管の票水増し問題以来、職員が萎縮し、意欲的な発想を妨げているとの指摘もある。元市幹部は「職員にミスの再発防止を呼び掛ける場面でしか、市長の顔が見えない」と気をもむ。
 奥山氏は13年8月からの今任期中、中小企業活性化、協働まちづくり推進、障害者差別解消の3条例を次々と成立させた。自ら「作って終わりの条例ではない」と語るように、いずれも市が目指す施策の方向を示した条例だ。
 「震災でやりたくてもやれなかったことを、これから始めるのだろう」。市役所内では、3期目への布石と見る向きが多い。
 3条例の成り行きは、奥山市政の真価を図る尺度になる。その上でも、「市長任せの『奥山1強』は決して良い状態ではない」(ベテラン市議)。トップと現場の一体感は108万市民への発信力となり、奥山流の「次」に直結している。
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 奥山恵美子仙台市長は22日、2期目の任期の最終年に入った。出身母体の市役所と二人三脚の市政運営は安定しているが、東日本大震災を挟んだ在任7年で「奥山流」は様相を変えつつある。市長選まで1年。現在の「座標」を読み取る。(報道部・関川洋平)


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2016年08月24日水曜日


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