宮城のニュース

<復興へのペダル>自転車 観光振興の軸に

「ポタリング牡鹿」のコース途中に設けられた休憩所でくつろぐ参加者ら=7月下旬、石巻市渡波

 東日本大震災で被災した宮城県沿岸部を自転車で巡る「ツール・ド・東北2016」(河北新報社、ヤフー主催)は9月17、18両日に開催される。大会は今年で4回目を迎え、会場となる石巻、気仙沼、女川、南三陸の2市2町では、まちづくりに自転車を生かそうと取り組みが始まっている。観光振興や外国人旅行者の誘客などに励む現場を訪ねた。(ツール・ド・東北取材班)

◎ツール・ド・東北2016を前に(1)石巻(上)

<日常の変化 実感>
 石巻市の街中からリアス海岸へ、色鮮やかなウエアのサイクリストたちがロードバイクで風を切っていく。
 「めったに見なかったスポーツタイプの自転車がここ数年で珍しくなくなった。愛好家から石巻が知られてきているのではないか」
 ツール・ド・東北の開始から4年、石巻観光協会長の後藤宗徳さん(57)は日常の変化を実感していた。
 経営する石巻グランドホテルの入り口付近に、自転車を立て掛けるサイクルラックを置いた。客室には自転車を持ち込める。「イベント開催時にとどまらず、春、夏、秋の3シーズンを自転車で楽しんでもらえるようになればいい」と期待を寄せる。
 市内では、自転車イベントが盛り上がりを見せる。
 2014年には、「ポタリング牡鹿」が始まった。石巻市中心部から牡鹿半島や宮城県女川町を回るコース約85キロ。1泊2日で、風光明媚(めいび)な景観や、復興プロジェクトを見る。
 東京の建築家千葉学さん(56)が被災地支援で通ううち、趣味の自転車で牡鹿半島を回る観光を思い立ち、同市の一般社団法人「ISHINOMAKI2.0」に持ち掛けた。ツール・ド・東北を主催するヤフーの協力も得て回を重ねる。
 毎回40人ほどの参加者は、7割近くが東京から。事務局を務める2.0の小泉瑛一さん(31)はツール・ド・東北への参加をきっかけに自転車が趣味になった。「車だと見逃してしまう景色や興味深い場所、建物を自分のペースで楽しめる」と魅力を語る。

<利便性を高める>
 ツール・ド・東北は年々規模を拡大し、15年は前年を500人ほど上回る約3500人が参加。入場が自由のフードイベントには約1万5000人が訪れた。
 今年は、通年型サイクルツーリズムの推進を目指す石巻市の意向を受け、牡鹿半島を10人一組で走るチャレンジグループライドを新設する。市は、出場者へのアンケートでニーズを把握し、環境整備に生かす。
 サイクリスト向けの案内板をルート沿いに取り付けたり、サイクルラックを複数箇所に常設したりして、利便性を高める。市観光課の中村恒雄課長は「県や周辺自治体とも連携して、サイクルツーリズムの可能性を探りたい」と話す。
 国内では、愛媛、広島両県をつなぐ「瀬戸内しまなみ海道」や、滋賀県の琵琶湖を一周する「ビワイチ」がサイクルツーリズムの先進地と目される。「いずれは三陸も国内を代表するコースになってほしい」。関係者は前を見据える。


2016年08月24日水曜日


先頭に戻る