岩手のニュース

<岩手知事3期目>地域振興へ前面で指揮を

台湾観光協会の舞踏団を歓迎した達増知事(左)。互いに花巻空港からの国際定期チャーター便を使った誘客をPRした=4日、岩手県庁

◎読む語る達増県政(下)けん引力

<ツアーを検討>
 「あらゆる世代が生き生きと暮らす岩手を実現したい。社会と経済の構造改革を進め、ふるさと振興を進めていこう」
 達増拓也岩手県知事(52)は4月、職員への訓示で、東日本大震災からの復興に加え、地域振興と人口減少対策を最重点施策に据える意向を強調した。
 元県議の田村正彦八幡平市長(68)は地域振興に注文を付ける。「自治体ごとの特色を整理して県全体の振興につなげるダイナミックな戦略が必要だ」
 その好機が訪れた。環境省が7月、訪日客誘致を図るブランド観光地のモデル事業の一つに、同市を含む十和田八幡平国立公園を選んだ。自然や文化を生かしたツアーを検討する。
 知事は「東北全体の観光のけん引役にしたい。市町村と連携した活用策を検討する」と力を込めるが、田村市長の評価は辛口だ。
 「予算措置や観光ルート設定など具体策はあまりにも自治体任せ。県全体の振興につながるのだから、知事が前面で指揮を執るべきだ」と求める。
 大手総合商社での海外勤務経験がある上田東一花巻市長(62)は別の見方を示す。花巻空港と台北の間での国際定期便就航を目指す知事のトップセールスを挙げ「県の広告塔としての役割を必要十分に果たしている」と評価する。
 チャーター便を運航する中華航空(台湾)は、来年3月末に季節定期便を就航させる意向を示した。「知事を先頭にして定期便化を働き掛けた熱意が実りつつある」とみる。

<機運醸成図る>
 「問題の核心は女性や若者の生きにくさにある」。人口減対策を問われると、知事はこう繰り返す。
 昨年10月、独身者の結婚を支援する「いきいき岩手結婚サポートセンター」を盛岡、宮古両市に設置。6月には仕事と家庭の両立を応援する「イクボス」を宣言し、機運醸成を図る。
 県男女共同参画センターを受託運営するNPO法人インクルいわて(盛岡市)の山屋理恵理事長は「将来への安心感を発信するイメージ戦略は重要。知事の役割は大きい」と評価する。一方で「1人親世帯の貧困が拡大している。継続的に支援できる人材育成にも目を向けてほしい」と先を見据えた施策も求める。
 県は2月、若者や女性の県内就職を支援して人口減少を食い止めようと「いわてで働こう推進協議会」を設立した。大学や業界団体など24機関が加わる。
 今年3月の新規高卒者の県内就職率は63.4%にとどまった。県内に就職した大卒者の1年目の離職率(2014年度)は17.9%で、全国平均の12.7%を上回るなど課題は多い。
 いわて産業振興センター(盛岡市)の事業化プロモーター小山康文さん(63)は「企業誘致一辺倒ではなく地元の力で産業と雇用を支える視点は大切。だが、総花的施策は効果を生まない。分野を絞って支援し、産業の裾野を広げる施策が求められる」と話す。
          ◇         ◇         ◇
 達増拓也岩手県知事(52)が無投票3選されて1年たち、県政運営は間もなく10年目に突入する。堅実な政策手腕は定評があり、政治的駆け引きにもたける。一方で、県庁組織への指導力や時に物議を醸す政治行動を巡り、疑問符を付ける関係者も多い。さまざまな角度から達増流を論じてもらう。(盛岡総局・横山勲)


関連ページ: 岩手 政治・行政

2016年08月24日水曜日


先頭に戻る