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<夜空と街に輝く大輪>資料収集 常設展示へ

模型の花火玉など、全国から集めた花火関連資料を保管する倉庫=大仙市

 秋田県大仙市の「大曲の花火」(全国花火競技大会、大曲商工会議所・大仙市主催)が27日、第90回の節目を迎える。106年前に始まった大会は、今や日本三大花火大会の一つに数えられるまでになった。国内外から70万人以上が訪れる本番を前に、大曲の花火を核に「花火の街」づくりを目指す取り組みと、これまでの歩みの一端を紹介する。(横手支局・目黒光彦)

◎大曲の花火開催90回を前に(上)歴史を残す

 大仙市の花火大会は大曲の花火だけではない。規模の大小はあるものの、毎月開かれている。会社の祝い事を記念した打ち上げなどを含めると、花火が夜空を彩るのは日常茶飯事だ。市民に身近な花火を、市はまちづくりの核に据える。
 そんな花火の街に、全国から収集された花火関連資料を保存する場所がある。同市仙北中が以前、合宿所として使っていた敷地内の建物だ。
 木造平屋の約240平方メートルに、1780(安永9)年の花火の秘伝書や花火大会の打ち上げ作業の風景を再現した模型、大曲の花火の大会プログラム、打ち上げの筒など、約1万点が所狭しと並ぶ。全国の花火大会にまつわる物もあり、まさに花火関連の資料の「宝庫」だ。

 約10年前から収集作業の先頭に立つのは、市民団体「大仙市花火伝統文化継承プロジェクト」の佐藤紘二会長(75)。大曲の花火の審査員経験もある大会の生き字引的な存在だ。
 佐藤さんは「たくさん残っていそうな大会プログラムでさえ、3年もすればなくなってしまう。市内はもちろん、全国の花火ファンに呼び掛けて多彩な資料を集めたい」と意気込む。収集は今後も続け、数万点まで増やすつもりだ。
 佐藤さんは資料の常設展示を目指してきた。「展示品を定期的に入れ替えられるような、生きた資料館をつくりたい」と言う。
 大仙市もそうした動きに呼応して、収集・展示事業に乗りだした。2018年8月の開館を目指し、「花火伝統文化継承資料館(仮称)」の建設計画が進む。
 資料館建設事業を担当する市総合政策課の加藤健一郎さん(42)は「大曲の花火だけにとどまらず、日本の花火文化全体を次世代に継承していけるような施設にしたい」と話す。

 計画によると、資料館はJR大曲駅に程近い中心市街地に建設。鉄筋4階で、延べ床面積は約1600平方メートル。常設展示スペースに加え、開館後も収集を続ける資料の保管庫も広く取る。総事業費は約9億円。
 新たな保管場所を確保しても、傷みやすい紙資料の保存方法には課題が残る。市は10月、約1万点の現存資料の約半数を占めるプログラムやポスターなどをデジタル保存し、データベース化する事業も始める。
 佐藤さんは「大曲の花火は、地元業者の力だけで続いてきたわけではない。全国の花火業者の協力があったからこそ、現在の名声を得た」と強調。「花火の打ち上げと花火文化を残していく場所として、大曲の花火の知名度を生かし貢献していきたい」と語る。

[大曲の花火]第1回は1910年、「奥羽6県煙火共進会」として始まった。太平洋戦争の激化で1937〜45年に中断したほか、大雨などで中止された年もある。花火技術を競う日本最高峰の大会とされる。今年の全体テーマは「行雲流水 礎と創」。東北から九州までの28業者が参加し、全体で例年並みの約1万8000発が打ち上がる。


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2016年08月24日水曜日


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