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被災農家の離職報告せず 交付金要件抵触か

国の交付金で整備したビニールハウスの一部=白石市福岡深谷

 東日本大震災で被災した農家の参加を要件とする交付金事業で、白石市の農作物生産販売会社「蔵王グリーンファーム」が被災者に退社を求めていた問題で、同社が国と宮城県に対し、被災農家が「離職」し、勤務実態がないことを1年以上、報告していなかったことが24日、分かった。現状は交付要件を満たしていないとみられ、県が事実関係の調査に着手した。
 同社は2011年6月、名取市の被災農家5人を役員に招き入れ、「震災農業生産対策交付金」として国や県から計約1億円を得て、ビニールハウス132棟と出荷施設を建設した。同交付金事業は原則5戸以上が参加し、被災農家が半数以上を占める必要がある。
 5人は事業開始から2〜3年で「病気や高齢などを理由」(会社幹部)に相次ぎ辞意を伝えた。最後に残った男性(76)は15年3月中旬、「年齢的に退社する時期だ」「1カ月後に退職を」と記載された「退社願い」を社長から提示された。現在は全員出勤しておらず、報酬も払われていない。
 職場の人間関係を理由に2度辞表を提出したという60代の被災農家は「今も正式に受理されていないようだが、理由は分からない。出社しておらず、勤務はしていない」と話す。同社幹部は「5人は今も役員。辞められては困る。現在も一部の役員からは無償で電話などによる営農指導を受けている」と釈明している。
 国の交付金の窓口業務や指導監督をしている白石市農林課は取材に対し、「毎年生産量の報告を受けており、5人が実績を上げていると認識していた。詳しい勤務実態やトラブルの報告は受けていない」と述べた。県農産園芸環境課は「早急に事実関係を確認する。状況によっては交付金の返還を求める可能性もある」と話した。
 同社幹部は「役所に言えば5人が会社に戻れなくなる懸念があり、相談するかどうか迷っていた。市に状況を報告し、判断に従う」と語った。
 同社を巡っては、交付金申請の名義人となった76歳の被災農家の男性が4月、「最初から交付金目当ての誘いだった」として、損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に提起している。


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2016年08月25日木曜日


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