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オオカミ木像を3体修復 社も新築へ

オオカミの木像の修復を喜ぶ塩沼さん(前列中央)たち=丸森町大内の熊野神社

 かつてオオカミ信仰が盛んだった宮城県丸森町大内の青葉地区で、地元に伝わるオオカミの木像3体が修復された。地区は原発事故に伴い全村避難が続く福島県飯舘村に近く、オオカミ絵の復元で知られる村の山津見神社に参詣する住民も多かったという。同神社がまつる山の神の使いとされるオオカミ。木像のために住民は地区の熊野神社境内に社を新築し、文化遺産を後世に継承する考えだ。

 木像は3体とも約60センチで、熊野神社から約300メートルの林の中にある山神社(やまのかみしゃ)に安置されていた。2体は「あ」「うん」の一対で、「あ」の像は口の中が赤く塗られていた跡がある。残りの1体は大きな尻尾がある。彫り方から幕末から明治初期の作とみられる。シロアリの被害に遭い、胴体に空洞ができていた。
 宮城県村田町歴史みらい館の石黒伸一朗副参事(58)が5年前、猫神について調査中に、山神社の中の像を再発見した。
 石黒さんによると、明治時代の調査で、山津見神社に約13センチのオオカミ像があったとの記載があるが、実物は不明。宮城県加美町にも木像があるが、約20センチで年代もより新しいとみられる。丸森で見つかった百数十年前の作と推測される3体を「東北南部で見られるオオカミ信仰を示す貴重な品だ」と解説する。
 昨年5月、石黒さんが東北芸術工科大の文化財保存修復研究センター(山形市)に問い合わせたところ、修復を引き受けてくれた。像をガスで薫蒸した後、樹脂に浸し空洞に浸透させる含浸という方法を採用し、今年3月に完成した。
 像があった山神社は石段の周囲の土砂が崩れ、地区内にある他の3カ所の山神社も同様に荒れ果てている。熊野神社の氏子総代長の塩沼俊美さん(83)は、4カ所の山神社を統合した社を熊野神社に新築しようと発案。地域の互助会である契約会に寄付を依頼した。建立に向け地鎮祭を7月に済ませ、11月下旬に新しい社が完成する予定だ。
 塩沼さんは「オオカミは山仕事の守り神として敬われてきた。眠っていた地域の遺産がきれいに修復され、大変うれしい」と喜ぶ。
 熊野神社の大内重幸宮司(44)も「地域の絆が今も強く残り、保存に協力してもらえるのはありがたい」と笑顔を見せた。


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2016年08月27日土曜日


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