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<キラリこの技>新素材 立体加工を追求

電動カッターで木地を切り出す社員
MDFを使った花器

◎東北のものづくり(2)今木地製作所(青森県田舎館村)

 円筒形の花器の先端がぐるりとねじれて天を向く。まるで蛇が鎌首をもたげたようだ。1枚の板から作られたとはとても思えない。
 「いくつかのパーツを組み合わせて曲線を表現している」と今正尊(こんまさたか)専務(50)が説明する。今木地(こんきじ)製作所は中質繊維板(MDF)を積み重ねて接着し、立体加工する技術で業界をリードする。
 1974年の会社設立以来、2度にわたって時代の波に揺さぶられてきた。
 元々は漆器の材料となる木地を提供する会社。地元の津軽塗をはじめとした全国の塗り物産地へ提供してきた。しかし、1980年代初めに原材料の天然木が枯渇。会社は新たな展開を迫られる。そこで編み出したのが間伐材などの木質チップを原料としたMDFを積層させた新素材だった。
 「天然木と違って割れにくく、ゆがみも少ない」(今専務)。品質が一定の木地は塗り物業者にとってコスト低減につながる。「堆輪木(ついりんぼく)」と名付けた木地は次第に販路を広げていった。
 2度目の危機は昭和末期。いわゆる自粛ブームで贈答用の漆器需要が極端に落ち込んだ。年号が変わっても低迷が続いたが、木の温かみを持ちながら強度がある素材の可能性に目を付けたデザイナーから、家具材として注文が相次いだ。
 今は漆器向け以外の出荷が9割を占める。耐水性が高い製品を開発し、ウッドデッキなどの建材分野にも進出している。
 室内用カーリングゲームのストーンやこまなどの遊具から、トイレの便座まで−。高性能のカッターを駆使してさまざまな形を生み出していく。創業者の今道弘社長(76)は言う。
 「頼まれたものを作れませんとは言いたくない。それがものづくりの意地なんですよ」

◎ここに感心/あふれる製品への自信

 「ほら、見てごらん。これは作ってからもう17年もたっているんだけどね」。今社長が取り出したのはMDFで作った抹茶入れ。ふたを閉めるとぴったりはまる。回しても引っかかりがない。ゆがみが全く生じていない証拠だ。「天然木じゃ絶対にこうはいかない」と今社長。穏やかな口調に製品への自信が満ちていた。(安住健郎)


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2016年08月27日土曜日


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