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<道しるべ探して>太陽光 再生の道照らす

会津電力の太陽光発電所を案内する佐藤さん=喜多方市熊倉町

◎とうほく共創 第3部恵み(中)会津の正義

 眼下に会津盆地の街並みが広がる。3740枚のパネルが真夏の日差しを集めていた。
 地元の「旦那衆」の出資で設立した「会津電力」が、エネルギーの自給自足で福島の再生を目指す。
 社長には1790(寛政2)年から続く喜多方市の造り酒屋9代目佐藤弥右衛門さん(65)が就いた。
 「土や水が汚染されたら、この商売も終わる」。最初に心を占めたのは、東京電力福島第1原発事故への言い知れぬ恐怖だった。
 浜通りでは無辜(むこ)の民が避難を強いられていた。会津も避難者を多数受け入れた。「ならぬものはならぬ」。会津っぽの反骨心が恐怖心を上回ったとき、佐藤さんは自然エネルギー開発へとかじを切った。
 「国と東電は、いずれやっつける。けど、原発を受け入れてきた責任は俺たちにもある」

 東電、東北電、電源開発の大手3社が水力発電所群を抱える会津地方。原発同様に電力の大半は首都圏に送られる。地元に落ちる金はわずかだ。
 「発電水利権を返してもらえば、福島は自立できる」と佐藤さんは想を練る。ただ、大手が既得権をやすやすと手放すはずもない。発電事業は、設置が容易な太陽光から始めた。
 会津電力自前の発電所は会津地方の11市町村に計48カ所。小規模分散型で災害時のリスク低減を図る。年間発電量約280万キロワット時(2015年)は一般家庭800世帯分に相当する。
 佐藤さんは会津電力を「公共的株式会社」と翻訳する。「経済合理性より大事なのが地域の自然や文化に根付いた生き方。そんな豊かさを磨きながら、福島のみんなが喜ぶサービスを届けたい」

 福岡県みやま市でも市と地元企業が資金を出し合った「みやまスマートエネルギー」が、電力の地産地消に取り組んでいた。
 市内の太陽光発電所や一般家庭から買い取った電力を、一般家庭や企業に小売りする。3年後までに市内全世帯の7割に当たる1万世帯への供給を目指す。
 経営企画部長白岩紀人さん(54)は「九州電力からの契約切り替えを進め、市内にとどまるお金を増やしたい」と強調する。
 家庭向けエネルギー管理システムを使って高齢者の見守り、宅配サービスなどのサイドビジネスも展開。売電と合わせた今年の売り上げ目標は4億7000万円だ。
 地域密着の電力会社が、出ていく一方だったお金の流れに一石を投じた。


2016年08月27日土曜日


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