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<手腕点検>「道の駅」計画不安呼ぶ

町内の夏祭りで地域住民と語らう相沢町長(右)=13日、美里町北浦の北浦小

◎2016宮城の市町村長(7)美里町 相沢清一町長

 美里町民の間で最近、国道108号沿いに計画がある「道の駅」の話題がしきりに取りざたされる。
 「県内最大規模」「事業費約30億円」。相沢清一町長(64)が「産業活性化拠点施設」として公約に掲げる施設だが、大方の町民は不安げに続ける。「町の体力は大丈夫なの?」
 2014年の町長選で無投票で初当選した相沢氏はコメ農家。農業を基盤に据えた産業振興に意欲を見せる。特産品開発や農産物販売などを通じてにぎわい創造を目指す施設は重点公約の一つだ。
 構想を推進するため、15年度には産業振興課に産業活性化戦略室を創設。足しげく通い、事業の進み具合を確かめる熱の入れようだ。

<町予算の約3割>
 今年4月にまとめた基本計画によると、国道沿いに広さ約3万5000平方メートルの施設を「道の駅」として整備し、20年春開業を目指す。町議会全員協議会で説明すると、議員から財政圧迫などの懸念が噴出した。
 旧小牛田町議と美里町議を2期ずつ、10〜13年には議長も務めた。出身母体の議会とは一貫して良好な関係を保ってきた。議場では当局に批判的な意見は一部を除きほとんど出ない。
 蜜月状態の議会が目をむいたのは、町の年間予算の3分の1に匹敵する事業費だった。議長時代の相沢氏を副議長として支えた吉田真悦議長(61)も「町の体力を考えると計画通りの規模は無理。精査しないと難しい」と厳しい見方をする。

<小中再編も急務>
 風当たりの強さには、もう一つ理由がある。少子化に伴う小中学校再編と施設の開業時期が重なるのだ。
 町教委は21年4月、町内3中学校を再編した新校開校を目指す。3校の校舎は築30〜50年ほどで老朽化が目立ち、新校舎には数十億円の費用がかかる。
 安全面からも待ったなしの状態で、相沢氏は「学校再編が最優先。施設の開業先送りもやむを得ない」と譲歩姿勢を示す。柔軟な態度を、ある町幹部は「住民の声をよく聞き、ニーズに応えている」と評価する。
 しかし、相沢氏に禅譲した形となった前町長の佐々木功悦県議(68)は「『物足りない』と言う町民もいる。選挙で信任を得たのではない立場を肝に銘じ、確固たる政治理念を前面に出して町政に取り組んでほしい」と注文を付ける。
 「道の駅」問題が浮上するまでの2年間に大きな失政はなかった一方、少子高齢化が進み、地域活性化の起爆剤に欠ける−という地方ならではの町の現状は何ら変わっていない。
 ここに来ての逆風を乗り切り、光あふれる針路に町民を導けるか。絶妙なかじ取りが求められる。
(小牛田支局・矢嶋哲也)


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2016年08月28日日曜日


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