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<七十七銀津波犠牲>遺族、交流深め慰霊の行脚

慰霊花壇の前で阪神大震災の被災者らと再会し、命の大切さを訴える孝行さん(右端)と弘美さん(右から2人目)=27日、宮城県女川町

 東日本大震災の津波で死亡した七十七銀行女川支店(宮城県女川町)の元行員田村健太さん=当時(25)=の両親が、阪神大震災(1995年)や日航ジャンボ機墜落事故(85年)など全国の災害、事故の関係者と交流を深めている。悲しみや苦しみを共有し、心を通わせる。30日で震災から2000日となるのを前に「安全な社会をつくり、命を守りたい」と覚悟を強める。

<不条理な死防ぎたい> 
 27日、支店跡近くの高台にある慰霊花壇前で、父孝行さん(55)と母弘美さん(53)が阪神大震災の被災者らと再会した。128人が犠牲になった神戸市長田区の御菅(みすが)地区を1月に訪れ、住民有志による慰霊法要に参列した。
 田村さん夫妻は、震災当時の周辺の写真などを示し健太さんらの被災状況を説明。弘美さんは「高台への避難が命を守る最善の方法だった。平凡な生活がいかに幸せでありがたいかに気付かされた」と語った。
 慰霊法要の住民有志代表を務めた田中保三さん(75)は再会を喜び「生きているだけで尊いということを伝えていってほしい。不条理な死を防いでいかなければいけない」と激励した。
 田村さん夫妻は慰霊花壇前での語り部や講演を通じ、命の大切さや企業防災の向上を社会に発信する。

<2度目の御巣鷹登山> 
 今月、520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故現場の御巣鷹の尾根(群馬県上野村)を訪ね、2度目の慰霊登山を行った。墜落事故で兄夫婦とめいを失った橋本毅さん(62)と再会した。昨年8月の慰霊登山で初めて会っていた。
 墜落現場付近で橋本さんは「父がここにいるような気がする」と声を震わせた。今年4月、93歳だった父栗原哲さんを亡くした。栗原さんの自分史を編集し、寡黙だった父の深い喪失感に触れた橋本さん。「二度と事故や災害が起きないようにするのが大事」と言う。
 「520人の命が安全な社会の必要性を訴え続けている」と孝行さんは御巣鷹の尾根の重みを改めて実感した。「企業の心を動かし、天国で息子と会った時に『あなたの命は大きな役目を果たした』と言えるよう、命の尊さを語り継いでいく」と誓う。


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2016年08月28日日曜日


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