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<再生する医療拠点>身近で安心 他院と連携

関係者がテープカットで再建を祝った記念式典=10日、石巻市立病院

 東日本大震災で被災した石巻市立病院(宮城県石巻市)が移転新築され、9月1日にJR石巻駅前で再開する。未曽有の災禍で疲弊した地域医療に力を与える新拠点のオープン。多くの人の期待が集まる。(石巻総局・鈴木拓也)

◎石巻市立病院9月再開(上)高まる期待

 「地域医療の再生にとって極めて大きな一歩を踏み出す日となる」
 10日に市立病院であった記念式典で、亀山紘市長は力強く宣言した。
 市立病院は内科や外科、リハビリテーション科など6診療科で構成し、外来患者は1日当たり約200人を想定。180床の入院ベッドを用意する。
 病院から約500メートル離れた災害公営住宅の無職男性(67)は「肺に持病があり、徒歩圏内に大病院ができるのは安心。公営住宅は年寄りが多く、みんな喜んでいる」と歓迎する。

<回復期受け入れ>
 市立病院再開を待ち望むのは市民だけではない。地域医療を支える他の病院も期待を寄せる。
 注目されるのは市立病院の新しい役割だ。社会生活に戻るための回復期の患者を受け入れるほか、痛みを和らげる緩和ケアも担う。震災を機に、急性期中心の医療から方向転換した。
 救急医療の核となる石巻赤十字病院地域医療連携課の佐々木功課長は「頼れる連携先が増えるのは大きなメリット」と言う。
 赤十字病院は464ある病床の稼働率が90%超の状態が続く。地域の救急患者の大半を受け入れるが、患者を一時的に治療した後、病床を確保できず、別の病院に入院してもらうケースも少なくない。
 症状が安定した患者を市立病院に引き受けてもらえれば改善が見込まれる。赤十字病院の石橋悟副院長は「入院が必要な患者を全て受け入れられないのはもどかしい。病床を確保できれば、より良い医療を提供できる」と語る。

<在宅患者も対応>
 市立病院の機能として、在宅患者への対応も加わる。介護や予防活動も含めた地域包括ケアにおける医療の中心的立場となる。
 団塊世代が75歳になる2025年を見据え、市内では地元の開業医らが先行して在宅医療に取り組む。
 石巻市医師会の千葉淳会長は「具体的な連携に向けた話し合いはこれからだが、市立病院には遠隔地診療の支援や在宅患者向けのバックアップ用ベッドの確保をお願いしたい」と将来像を描く。


2016年08月29日月曜日


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