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立場使い分け、集う場ない…仙台のハーフたち

国際結婚の母親らが、未就学の子どもを連れて月1回交流する仙台市内のサークル「デイライト」。子育ての悩みも共有している

 テレビ番組で引っ張りだこのハーフタレントやハーフ芸人。リオデジャネイロ五輪ではハーフの選手がメダルを獲得するなどスポーツ界でも活躍が目立つ。国際都市を掲げる仙台にもハーフはたくさんいる。イスラエル人の父、日本人の母を持つ記者が、仙台のハーフについて考えた。(報道部・吉川ルノ)

 「オリンピックでは日本を応援したけど、バスケだけは強豪国のアメリカを応援した。いいとこ取り」
 笑顔で話すのは、米国人の父と日本人の母を持つ青葉区の大学1年林沙彩(さあや)さん(18)。歩きスマホを注意された際、日本語を話せないふりをしてその場をしのぐなど、ハーフの立場を使い分けている。
 泉区の会社員小原竣さん(24)は母が中国人、父は日本人。「二つの国の文化に接して育ち、文化的背景の違いや他者への理解と興味が増した」と話す。
 一方、ハーフならではの悩みもある。小原さんは中学時代に来日した後、日本国内の反中感情を気にして中国人とのハーフを公言しない時期があった。林さんもバイトの面接で「日本人を雇いたい」という不合理な理由で断られた苦い経験を持つ。
 中国人男性と国際結婚した宮城野区の会社員小野教子さん(38)は「子どもはほとんど中国語を話せず、顔も名前も日本風。日中ハーフとしてのアイデンティティーを確立できるだろうか」と長女愛実(まなみ)ちゃん(5)の行く末を案じる。
 都市の「創造性」を測るアンケートを実施したNPO法人イシュープラスデザイン(東京)によると、仙台市は「異文化交流」の項目が他項目より低く、内向きな傾向が浮き彫りになっている。
 神奈川県横須賀市で生まれ、中学から母の古里仙台で育った林さんは「首都圏の住民は外国人を見慣れている」と指摘。ハーフが集う「ハーフ会」が首都圏では定期的にあったが、東北にはなく「疎外感を感じる時もある」と打ち明ける。
 海外に目を転じると、日本のように珍しがられる国は少数派で、そもそも「ハーフ」を意味する言葉すら存在しない国もあるという。
 取材をしながら、半分を意味する「ハーフ」から2倍の「ダブル」に言い換えようという運動があることを思い出した。自己紹介のしやすさなどから、記者は以前からハーフという言葉を使っている。今後もハーフという個性は一生ついて回ることも自覚している。
 芸能界やスポーツ界で活躍するハーフたちを心から応援する一方、ハーフである点だけが注目されず、個人として評価される時代の到来を願っている。

[メモ]厚生労働省の2014年人口動態統計によると、仙台市内で夫妻の一方が外国籍の婚姻数は101件、父母の一方が外国籍の出生数は100人で、それぞれ63件に1件、92人に1人の割合だった。東京特別区ではそれぞれ18件に1件、26人に1人となっている。


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2016年08月29日月曜日


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