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<防潮堤>5m超 住宅破壊率を軽減

<巨大な壁/渦巻く意見>沿岸部に巨大なコンクリートが徐々に姿を現している。津波から地域を守る防潮堤。「被害を抑えるために必要だ」「高過ぎて海が見えない」。各地にさまざまな意見が渦巻く。気仙沼港(宮城県気仙沼市)の防潮堤は海抜7.2メートルの高さで、窓が付けられた。

 東北大災害科学国際研究所などの調査チームは、東日本大震災やチリ地震(1960年)の津波で、防潮堤の高さが5メートル超の市町村では住宅が破壊された割合が低下したとする分析結果をまとめた。震災後、防潮堤の有効性を疑問視する見方があるのに対し、被害軽減に一定の効果があったと結論付けた。
 調査では宮城、岩手両県の沿岸市町村ごとに、全壊家屋数を全家屋数で割った「住宅破壊率」を算出。破壊率を津波と防潮堤の高さなどに照らし合わせ、統計学の手法で分析した。
 それによると、防潮堤の高さが最大5メートルだった市町村の住宅破壊率は29%。最大15メートルの市町村は23%と6ポイント下がった。
 防潮堤が無かった時代に発生した明治三陸大津波(1896年)と昭和三陸津波(1933年)の住宅破壊率のデータを加味した「住民死亡率」も算出。防潮堤がない場合の市町村の死亡率は7%だったのに対し、最大15メートルの防潮堤があった市町村の死亡率は6%に低減した。
 防災研究者の間では、震災で多くの津波犠牲者が出たことを踏まえ「防潮堤があったために住民が安心し、避難しなかったことで犠牲者を増やした」などの指摘がある。
 災害研のジェレミー・ブリッカー准教授(土木工学)は「防潮堤には一定の効果があることが分かった。高さにかかわらず、防潮堤があれば死亡率は低下していた」と説明した。


2016年08月29日月曜日


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