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<再生する医療拠点>ハード・ソフト共に対策

開院に向けて整備が進む周辺道路。住民からは渋滞を懸念する声が出ている

◎石巻市立病院9月再開(下)渋滞の不安

 車やバス、タクシーが行き交うJR石巻駅前に建設された石巻市立病院(宮城県石巻市)。車の利用者が多い石巻市役所が目の前にあり、交通渋滞を懸念する声が上がっている。

<拡幅完了3年後>
 「意外に早く着いた」。11日の病院内覧会に車で訪れた宮城県東松島市矢本の無職男性(82)は、予想に反して午前10時の開始時刻より1時間も早く到着した。
 東日本大震災で逃げた際に坂道で転倒し、左脚の股関節を痛めた。5年5カ月たっても痛みは消えず、市立病院の開院を待ち望む。
 「内覧会は祝日だからすいていたのかもしれない。普段はもっと道路が混む。開院したら診てもらおうと思うが、渋滞だけが心配」と語る。
 渋滞への不安の声は、石巻駅前への移転が決まった2012年からくすぶる。
 市は当初、渋滞対策として線路の南北を陸橋でつなげ、救急搬送に活用する計画を立てた。しかし、事業費が予定の3倍を超す約36億〜39億円に膨らみ、昨年夏に計画の白紙撤回を公表。既存道路の拡幅などで渋滞を緩和する方針を打ち出したが、道路整備が完了するのは19年度の予定だ。

<予約で集中防ぐ>
 実際の交通量はどうか。市によると、市役所南西の国道交差点で12年5月に調査したところ、1日で最も多いのは午前11時〜正午の約920台。目立った混雑はなく、スムーズに車が流れるレベルだ。
 市の想定では、来院者のピークが同時刻に重なったとしても交通量は約1割の増加と見込む。救急搬送にも影響がない範囲とされ、石巻駅周辺整備プロジェクト推進室の担当者は「日常的な渋滞はない」と推測。石巻地区消防本部の担当者も「交通量が多い時間は違う道を選ぶ。従来通りの対応で特に支障はないと考えている」と話す。
 新病院もハード、ソフト両面で対応策を講じる。
 病院と隣接する駐車場の収容可能台数は最大160台。外来患者らの車利用は午前8時台に多くても140台と試算し、余裕のある設計にした。
 また、予約診療の導入で患者の集中を防ぐ考えだ。市病院局の阿部雅幸事務部長は「予約診療で来院時間は分散する。駅周辺が今よりも混雑することはあっても、それほど渋滞はしないのではないか」とみている。
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 東日本大震災で被災した石巻市立病院が移転新築され、9月1日にJR石巻駅前で再開する。未曽有の災禍で疲弊した地域医療に力を与える新拠点のオープン。多くの人の期待が集まる。(石巻総局・鈴木拓也)


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2016年08月30日火曜日


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