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<震災2000日>漂流座礁船 手付かずのまま

震災と原発事故後、放置されたままの座礁船。奥に見えるのは富岡漁港と福島第2原発=25日午前8時ごろ、福島県富岡町

 東日本大震災の発生から2000日目を迎えた30日、東北の被災地では復興への取り組みが続いている。そのスピードは、地域によって大きく異なる現実がある。

 東日本大震災の津波と東京電力福島第1原発事故によって漂流した民間の投石船が、福島県富岡町の富岡川河口に座礁し、震災2000日目を迎えた今も手付かずのまま残っている。放射性物質汚染に伴う費用や処分方法に課題があり、誰が撤去するのかさえ明確になっていない。座礁船は、津波に加えて原発事故の影響が複雑に絡み、復興が長引く福島の現状を物語る。
 座礁現場は福島第1原発の南約9キロの富岡漁港付近。避難指示解除準備区域と、比較的線量の高い居住制限区域との境界近く。船体は海水に洗われ、さびて朽ちた姿が月日の経過を象徴する。現場を管理する県相馬港湾建設事務所の担当者は「今後、町の避難指示の解除や漁港を復旧するのに撤去は必要だ」と話す。
 船は高線量の放射性物質に汚染され、除染は必須。解体後の搬入先を探すのも難しい。加えて撤去には現場周辺に作業道路などの設置が必要になり、費用は数億円規模とみられる。
 投石船は全長23.5メートル。2011年3月11日、いわき市の小名浜港で防波堤の工事中に被災した。津波で約45キロ北の福島第2原発専用港湾内(富岡町、楢葉町)に流され、乗組員は救助されたが、原発事故により周辺海域への立ち入りが規制。第2原発専用港に係留できずに再漂流し、現在地に座礁した。
 船を巡っては、船主の潜水工事会社「イワキ潜建」(いわき市)が12年3月、事故に伴う規制で係留できず座礁したとして、東電に新船の建造費約1億347万円の支払いを求め、福島地裁いわき支部に提訴した。同支部は15年3月、原発事故の因果関係を認定。東電に、事故当時の船の評価額約1773万円の支払いを命じた。
 ところが、誰が撤去するかが決まらない。判決は双方とも受け入れているが、船主側は賠償額では撤去費用を賄えないと主張。船主代理人の広田次男弁護士(いわき市)は「民法上、賠償金が支払われた場合、対象の財物の所有権は賠償した側に移り、東電に撤去責任がある」と指摘する。
 東電福島復興本社福島広報部は「船は富岡町対策地域内廃棄物に当たると認識している」とし、国が撤去主体との考えだ。
 困惑した船主側が国に対応を求めたが、国は単に津波で座礁した船舶の撤去とは異なり、紛争案件だとし、民事不介入の姿勢を示したという。
 広田弁護士は「国も東電も何もしてくれない」と嘆く。東電福島復興本社福島広報部は「災害廃棄物に当たるかを環境省が判断した上で、国が処理するものと考えている」と話す。(菅谷仁)


2016年08月30日火曜日


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